
みなさまは営業を行なっている際に意識して行なっていることはありますか?
営業は才能を持っている方だけの職種ではありません。
今まで全く営業職についたことのない方でも、正しい方法や努力、そしてテクニックを活用することによってトップ営業マンになった人もいます。
営業という企業活動は、今後もなくならない可能性のほうが高く、どのような企業も営業を欲しているのは確かです。ただ、人材の不足はとても大きく、より待遇の良いところに人が集まってしまう事実もあります。
そのため、営業のマネージャーの方は今いる人材のさらなるパワーアップを、営業マンの方で就職や転職を考えている方は自身の営業力に磨きをかけなければいけない時代になってきております。
今回は、育成や自身の営業力アップに即座に導入できるテクニックについて解説をしていきます。
目次
- 営業テクニックとは|売上アップだけがメリットではない
- 営業テクニックを身につけるメリット
- 営業テクニック13選
- 営業テクニック①:準備|リスト作成と精査
- 営業テクニック②:営業トーク|トークスクリプト
- 営業テクニック③:営業トーク|商談時
- 営業テクニック④:営業トーク|ロープレ時
- 営業テクニック⑤:クロージング
- 心理学テクニック①:返報性の法則|GIVE精神
- 心理学テクニック②:オープン・クエスチョン|情報をより多く引き出す
- 心理学テクニック③:ミラーリング効果|相手の動きを真似る
- 心理学テクニック④:オウム返し|相手の言葉を反復する
- 心理学テクニック⑤:ドア・イン・ザ・フェイス|大→小へ
- 心理学テクニック⑥:フット・イン・ザ・ドア|小→大へ
- 心理学テクニック⑦:両面提示|デメリットをしっかり提示する
- 心理学テクニック⑧:松竹梅の法則|売りたい商材を選ばせる
- 最後に
営業テクニックとは|売上アップだけがメリットではない

営業テクニックとは、その名の通り営業活動におけるテクニックのことです。
具体的には、営業相手である顧客との関係性構築を行うために必要になってくる「ヒアリング」や「課題解決」、「トーク」等に対するテクニックです。
顧客との関係性構築は、営業活動を行う上で最重要な要素であり、成約に至ることができるか、成約後のアフターフォローも円滑に進めることができるかがこの関係性によって分かれてきます。
そして、その初回訪問〜成約〜アフターフォローというフェーズごとに、適切なアプローチをしていく必要があります。
営業マンが営業テクニックを活用して、パフォーマンスが上がった場合、もちろん成約率や売上アップ等のメリットがあるのですが、その他にも下記2つのようなメリットがあります。
営業マンのモチベーションアップ
営業マンが営業テクニックを身につけ営業活動を行うことで、今まで到達できなかったプロセスまで達することができたり、成約率がアップしたりと成功体験を積むことにより、モチベーションアップにつながります。
自社のイメージアップ
関係性構築を円滑に行うことができ、どのような顧客からも見られ方が違ってきます。
万が一成約まで行かなかった場合でも、営業マンに対する印象は代わって見えるでしょうから、その結果会社に対してのイメージもアップします。
営業テクニックを身につけるメリット

前述したメリット2つはとても大きいメリットですが、副産物のようなものです。
営業テクニックを身につけることによる主のメリットは、「提供価値の向上」になります。
この提供価値の向上を2つの観点でお伝えしていきます。
信頼の獲得
商品やサービスを成約して頂くためには、顧客と商材がマッチしていることは大前提ですが、その上に信頼関係がなければ成立しません。営業テクニックを身につけることにより、信頼関係をより強固に構築することができます。
信頼関係が必要な理由としては、ほとんどの企業は大きなブランド力を持っていないからです。
例えば、電子機器であれば「Apple」や「Samsung」、アパレルであれば「NIKE」や「LOUIS VITTON」のようなブランド力があれば製品の説明だけで売ることができます。
反対に、そのようなブランド力がない企業の多くは同業他社も多く、商品・サービスの説明だけでは売ることができません。そのためテクニックを活用してその他企業より上に行く必要があります。
状況の把握
上記の信頼関係の構築ができている場合、顧客から現時点で抱えている課題や困っていることの話をしてくれる可能性が上がります。
そうすることにより、直に顧客が感じている状況の把握を行うことができ、それに合わせた「正確な提案」を行えます。既に既存顧客の場合も、アップセルやクロスセルにつながる可能性も高いため、一時的な売上アップだけでなく安定した売上構築が可能です。
営業テクニック13選

営業活動には、様々なフェーズがあります。
ただ、今回は大別した3つのフェーズと、心理テクニックについてお伝えしていきます。
具体的には、下記です。
営業フェーズ別の営業テクニック
- 準備
- トークスクリプト
- 商談時
- ロープレ時
- クロージング
心理学を使ったテクニック
- 返報性の法則
- オープン・クエスチョン
- ミラーリング効果
- オウム返し
- ドア・イン・ザ・フェイス
- フット・イン・ザ・ドア
- 両面提示
- 松竹梅の法則
営業テクニック①:準備|リスト作成と精査

準備編でのテクニックは「ターゲットリストの作成・精査」です。
ターゲットリストについてはいくつかの記事でもお伝えしてきましたが、効率的に営業活動を行なっていくにはターゲットリストの精度がとても重要になります。
おそらく多くの営業マンは、企業名や住所、電話番号が記載されたリストを作成して、上から順番に営業をかけていくと言う方法で行なっているかと思いますが、この方法ですとターゲットリストを十二分に活用できておりません。
営業は、顧客の課題解決できるソリューションを提供することです。そのため、ターゲットリストの作成時に、「課題やニーズがある企業」を考え、リストアップをする必要があります。
リストはとても重要な要素になりますので、企業で用意していないのであれば、無料もしくは有料でリストを作成しましょう。無料でもそれなりのリストが手に入りますが、業種に偏りがあったり、リスト内容が最新のものでない場合もありますので、有料で作ることをお勧めします。
営業テクニック②:営業トーク|トークスクリプト

商談では、営業トークを必ず話します。
商談だけでなく、アポイント取りのテレアポ時やセミナー等でも営業トークを使うでしょう。営業トークのテクニックは営業活動において重要なテクニックになりますので、今回は、「トークスクリプト」と「商談時」、「ロープレ時」という3つの観点からお伝えしていきます。
おそらくみなさまトークスクリプトを用意して営業を行っているかと思います。
トークスクリプトがない企業はすぐに作りましょう。
営業活動を行っていく上での軸となるトークスクリプトですが、個人の営業力の向上だけでなく、属人化しない組織的な営業力向上に寄与してくれます。
そして、トークスクリプトを効率的に活用するためには、フェーズごとに分け、分析・改善を行っていく必要があります。
さらに、通常の営業トークのみならず、キラートークと言われる「顧客から興味や関心を持ってもらえるトーク」や、切り返しトーク(ネガティブな断り文句を言われた際に切り返すトーク)を用意しておくと、営業活動がスムーズに行うことができ、営業力を即アップすることができます。
トークスクリプトで一番重要なことは、作って終わりではなく、常にブラッシュアップをしていくことですので、作ってあるトークスクリプトの見直しを行なっていきましょう。
営業テクニック③:営業トーク|商談時

商談時、多くの営業マンが売ろうと強く意気込んでしまい、自社の商材についての話や事例について「話す」ことに一生懸命になってしまいますが、実は「聞く」方が重要です。
聞くということは、顧客が話をしてくれる環境を整えて、真の課題・ニーズを引き出すことになります。ヒアリングを行うことにより、その内容に合わせた事例を伝えたり、営業トークを話したりすることができ、話すだけよりも成約率は格段に上がります。
ヒアリングについては下の記事で詳細記載してありますのでご確認ください。
営業テクニック④:営業トーク|ロープレ時

ロープレは、トークスクリプトが自然に出てくるか、ヒアリングがきちんとできるか、相手の立場でトークを構築することができるか、等さまざまな観点から見ることができ、営業マン側からするとスキルアップのチャンスになります。
このロープレ時では、ただ単に行うだけではあまり効果は実感できません。
ロープレにおける「設定」と「ゴール」をきちんと決めた上でロープレを行いましょう。
設定とは、顧客の設定で営業マンが苦手と感じている顧客のタイプや業種等の設定を決めていきます。ゴールは、商談をまるまる行いますと、内容が多いため、「今回は商材の良さを伝える」等のゴールを設定して行うと良いでしょう。
営業テクニック⑤:クロージング

クロージングと聞いて何をイメージしますか?
クロージングは、強く行うものではなく、顧客の後押しをするだけの行為が一番良いクロージングです。
というのも、クロージングはその名の通り商談を終わらせる役割で、終盤にクロージングを行うことが多いです。終盤になると顧客は、決断しなければならないと感じ、不安が募ってきたり、不明点があるけど聞きづらくなったりと思うことも多く、その顧客が抱えるマイナス要素を察知し取り除かなければなりませんが、強引な営業マンには取り除けられないでしょう。
そのため、顧客をただ優しく且つ顧客を想う強い信念を持って手を引っ張っていけるようなクロージングを心がけることが良いでしょう。
クロージングについては下記記事に記載してありますのでご覧ください。
心理学テクニック①:返報性の法則|GIVE精神

それでは、今まではマインドも含めたテクニックでしたが、ここからはトーク中や顧客とのコミュニケーションで活用できる心理学を用いたテクニックについて解説をしていきます。
返報性の法則はとてもよく聞くテクニックで、内容は「人は人にされたことを返したくなる法則」です。それは、善意・悪意関係なく本能的に働きます。
例えば、「試食をいただいたので、何か買わないと悪いな」と感じることも返報性の法則に基づいた戦略になります。
営業における返報性の法則
営業に返報性の法則を置き換えた場合、主に2つのことが可能です。
何かを贈る
プレゼントは大きすぎるのですが、例えば子供連れであれば、子供が好きなお菓子や飴等をあげたりすることで、話を聞いてもらえたりします。
好意
一番効果的な使い方が好意です。好意は色々な形があり、例えば顧客のネクタイや腕時計、スーツ等の外見を褒めることです。アイスブレイク時などではとても良いです。
それと、マインドとしてですが、顧客のことを「好き」になることです。
これは文字通りの好意になり、人のことを好きだと思って話すことで、出てくるワードや表情が全く変わってきます。その気持ちを相手は受け取り、返したくなるということです。
心理学テクニック②:オープン・クエスチョン|情報をより多く引き出す

よく営業ではクローズド・クエスチョンを使われますが、顧客より情報を多く引き出したい場合はオープン・クエスチョンが有効的です。
クローズド・クエスチョンは選択肢を狭めて選択をさせるための質問方法になり、誘導したい場合等には効果を発揮します。反対にオープン・クエスチョンは、解答の幅を大きくすることができる質問方法になります。
例えば、「ご飯どこにいきたい?」がオープン・クエスチョンで、「ご飯焼肉にしない?」がクローズド・クエスチョンになります。
営業におけるオープン・クエスチョン
オープン・クエスチョンで質問をすることで、その課題に対する真剣度が把握できます。その方法は5W1Hを使って質問をします。例えば、下記のようなものです。
- 〜〜について課題だと感じたのは何故(Why)ですか。
- 御社の中で〜〜の導入で重要視していることは何(What)ですか?
- もし導入するとしましたら、いつ(When)までとお考えですか?
- 決定権はどなた(Who)になるのでしょうか?
- どのようなエリア(Where)で実施していくおつもりですか?
- どのように(How)施作をおこなっていくのでしょうか?
このように質問することにより、顧客が自ら考えることにより課題に気づくことができます。
詳しく答えられる顧客は、その課題に対して真剣に考えているといえますし、反対に曖昧な答えしか返答がなければ、あまり課題に対して真剣に考えていないとわかります。
心理学テクニック③:ミラーリング効果|相手の動きを真似る

ミラーリング効果とは、自分と同じ動きや仕草を取る人のことを無意識に仲間と感じてしまう心理効果です。
営業におけるミラーリング効果
ミラーリング効果を意識しすぎて、本当の鏡のように行動を真似していると「真似ばかりして馬鹿にしている」と感じるため、真似をすることはやめましょう。真似ではなく、類似性を意識します。
主に、話すスピード・テンション・笑いを意識します。
話すスピードが早く、落ち着いて話している人には、自分も同じようにスピード早く、落ち着いて話しをします。合わせて、相手と同じタイミングで笑うだけです。
それらを意識して話すだけでも相手からの印象はとても変わりますので、活用してみましょう。
心理学テクニック④:オウム返し|相手の言葉を反復する

オウム返しとは、相手の話していることを反復して話すことです。
オウム返しを行うことで、相手に対して「私は理解しています」と伝えることができます。
営業におけるオウム返し
相手の言った言葉を、自分の解釈を含めずに、そのまま言うことがポイントです。
そして、話すテンポも崩さないように使うことを意識しましょう。例えば、下記のようなに活用しましょう。
顧客「成約率が落ちているのが最近の課題でね…」
自分『成約率が落ちているのが最近の課題なのですね』
顧客「そうそう。その原因が〜〜で困っていてね…」
自分『原因が〜〜であれば、困りますね。』
心理学テクニック⑤:ドア・イン・ザ・フェイス|大→小へ

ドア・イン・ザ・フェイスは、人は一度断るとその後の提案を断りづらくなるという心理効果になります。
例えば、「11月分の営業データまとめてメールで送って」と頼むと、「別のことをしているので他の方に頼んでください」と言われることもあるでしょう。
ですが「11月分の営業データを分析してレポートまとめてくれないか?」とあえてより高い要求をしたら、「今無理です」と断られますが、その後に「じゃあ、データまとめるだけでいいから、メールで送ってくれない?」と頼むと「それくらいなら…」と要求を飲んでくれやすくなります。
営業におけるドア・イン・ザ・フェイス
営業でも同じように、松竹梅のプランがあった場合、松のプランを提案し、断ってもらい、その後に価格の低い竹のプランを提案します。そうすることにより、本来提案する予定だったプランで成約が決まりやすくなります。
心理学テクニック⑥:フット・イン・ザ・ドア|小→大へ

フット・イン・ザ・ドアはドア・イン・ザ・フェイスの反対で小さな要求を積み重ねることにより、最終的な提案も受け入れやすくする心理効果になります。
フット・イン・ザ・ドアは一貫性の法則を活用したテクニックになります。
営業におけるフット・イン・ザ・ドア
営業の場合、フット・イン・ザ・ドアは商談ではそこまで活用することはできません。
ただ、商談の場を作ることには活用できます。
急に「商談させてください」と言っても断られるだけですが、ひとまず関係性を構築し、プライベートの話などについて聞き、仕事に関する課題を聞き、それなら自社の商材で解決できるから話聞く?と順にYESをとっていきましょう。
心理学テクニック⑦:両面提示|デメリットをしっかり提示する

両面提示は、メリットだけでなくデメリットも伝えることで信頼を得ることができる心理効果です。
顧客はメリットがあればデメリットもあると知っています。そのため、メリットばかり伝えてデメリットを伝えない営業マンのことは不信感を抱いてしまいます。
きちんとデメリットを伝えた上で、メリットの方が大きいことを理解してもらえる自信を持って営業活動をすることで、信頼度はとても上がるでしょう。
心理学テクニック⑧:松竹梅の法則|売りたい商材を選ばせる

松竹梅は、料金提示の際によく活用されるかと思いますが、念の為お伝えします。
松竹梅の法則とは、プラン・商材を3つ(価格や性能が低い商材・中位の商材・価格や性能が高い商材)を用意し、提案をすると中位の商材を選びやすくなるという法則になります。
人は、価格や性能の違う商品を提案された場合、中位の商材を選びやすくなります。
理由としては、「極端の回避性」が働くためです。極端の回避性とは、1番安いor高いものを避けやすくなるという心理です。
営業における松竹梅の法則
先程お伝えしたように、金額を提示する際に使われることが多いです。
具体的な方法については、中位の商材を「販売したい商材」にするということです。
そうすることにより、極端の回避性によって販売したい商材を選ぶ可能性が高くなります。
このように、工夫して提案をすることで顧客を少しコントロールすることは可能です。
最後に
今回は、営業テクニックについて様々な観点でお伝えしていきました。
テクニックはうまく活用することにより、様々な効果を与えてくれるものですが、反対にうまくなければ相手に全く嵌まらないものです。
そのため、自社の営業であればどう活用できるかしっかり考え、活用していくことをお勧めします。
御社の営業力に貢献できれば幸いです。