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セールステックとは?ツールの種類や必要なスキルなどを徹底解説

昨今では、企業の経営においてIT化による様々な問題解決が推進されております。
SNSの活用も然り、SaaSの発展や導入、ERPにおけるパッケージの導入等が技術の革新とともに広がっており、こと営業活動においても例外ではありません。
セールステックという言葉を耳にする機会が増えてきましたが、セールステックのツールやサービスが多くの企業から展開されており、活用されております。

今や人材不足の問題が経営にとって大きな影響を与えており、今後改善される兆しもありませんので、少ない人材でパフォーマンスを上げ生産性を高めて、より大きな成果を出していく必要がでてきております。
そのため、セールステックによるビジネスの底上げが必要となってきます。

今回は、今後さらに重要となってくるであろうセールステックについて詳細に解説していきます。
あまり詳しくは知らないという方でもわかりやすく解説しますので、ぜひご参考にしていただければと思います。

セールステックとは?

セールステックとは?

セールステックとは、営業活動をIT化によって効率的かつ効果的に行なっていく為のサービスやツールのことになります。
語源としては、Sales(営業)+Technology(技術)を融合させた造語となっており、似たような言葉としてアグリテックやフィンテックがあります。どれも同様に技術によって革新をしていくものとなります。

今までは、欧米諸国を中心としてセールステックの市場は大きくなっておりましたが、昨今では日本でも市場は大きくなっており盛り上がっている状況です。

SFA市場規模|出典:株式会社ITR
出典:株式会社ITR

セールテックは様々なカテゴリーがあるため、全体に対する市場規模のデータはありませんが、例えばSFA(営業支援システム)の市場規模について調査会社である株式会社ITRの2021年の調査結果によると、2019年度では12.5%増加、翌年2020年度についても2桁成長を遂げており成長されていることがわかっております。

CRM市場規模|出典:IDC Japan
出典:IDC Japan

CRM市場についても非常に伸びており、調査会社IDC Japan株式会社の2020年の調査結果によると、2019年度の市場規模は、前年比成長率7%の1,742億900万円となっております。さらに、2019年から2024年の年間平均成長率は5.3%で2024年の市場規模は2,250億9,000万円になると予測されております。

セールステックが注目されている背景

セールステックが注目されている背景

セールステックは、前述でもお伝えした通りある特定したものを指しているわけではなく、様々なカテゴリーに分けられており、そのそれぞれに特化したサービスやツールがあります。
特に需要が高いものとして、営業支援システムであるSFA(Sales Force Automation)や顧客関係管理システムであるCRM(Customer Relationship Management)です。

SFAとCRMについてはこちらの記事で解説しておりますので、ぜひチェックしてみてください。

株式会社矢野経済研究所による国内企業528社対象のSaaS導入予定に対するアンケート結果(2018年)によれば、SFAやCRMのセールステック導入数は年々増えているという結果が出ております。

SaaSの利用率と自家システム更新時のSaaS導入予定の調査結果|株式会社矢野経済研究所
出典:株式会社矢野経済研究所

SaaSとは、Software as a Serviceの頭文字を取った言葉で、クラウド上にあるソフトウェアやツールにインターネットを介してアクセスして活用することができるサービスを指しております。

このように注目されている背景としては、冒頭でもお伝えした人材不足による労働人口の減少問題生産性の低下の2点が要因といえます。

労働人口の減少問題

営業のDXとは?成功のポイント・ツール・成功事例を徹底解説」でも解説をしておりますが、様々な人材不足が悪化しております。

労働需要と供給のグラフ|出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」
出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030

パーソル総合研究所の発表した「労働市場の未来推計 2030」では、2030年の労働需要と供給がマッチしておらず、644万人もの人手不足が発生すると予測されており、現在でもシニア層の定年延長や女性就労支援、外国人就労支援を積極的に取り組んでいるものの644万人の半分程度しか確保できないと言われております。

その大きな要因として出生率の低下があり、今後その出生率が大きく改善をされたとしても、労働人口の減少が大幅に変わることはないと言われております。

そのため、企業が今後も大きくビジネスを展開していくためには、人材資本ではなくITの技術による改革を行なっていく必要があります。

人材不足を補う4つの方向性|出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」
出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030

加えてお伝えすると「労働市場の未来推計 2030」では、644万人の人材不足を補う方向性は4つあると発表しており、その中で一番のウエイトを占めているのが後ほど紹介する「生産性」となっております。

生産性の低下

営業のみならず仕事と呼ばれるものは、効率的で生産性の高くやっていくことがベストです。今まで行われてきた営業活動は、いかに足で稼いでいくかが問われる営業スタイルが多く、そのパフォーマンスは営業マンによる属人化したものとなっており、数少ないトップ営業マンが組織の土台となって支えているという構図でした。

ただ、前述したように自社にとって良い人材の確保が難しくなっているのと、人材の流動性が高くなってきており長期間雇用し続けるということができなくなっております。

そのため、昨今ではセールステック等のIT化が進歩してきており、少人数でも高パフォーマンスを発揮できる仕組みを作り上げることができます。

例えば、AIを活用した顧客分析や戦略立案、ビッグデータを利用したインサイドセールス等が多く広まってきているのも、効率的に営業活動を行いたいという課題の解決策として選ばれているからになります。
さらに、インターネット上でのサービスをアウトソースする動きもあり、リードの獲得を他社に依頼したり、商談・クロージングまでオンラインで依頼することもでき、人材を確保しなくても良い環境ができつつあります。

セールステックのツール・サービス7カテゴリー

セールステックのツール・サービス7カテゴリー

それでは、セールステックの重要性や注目される背景についてはご理解いただけたかと思います。
ここからは、セールステックには実際にどのようなツールやサービスがあるのかを紹介していきます。

前述でも少し触れましたSFAやCRMもセールステックの重要なツールのひとつとなっておりますが、その他にも営業活動に活躍してくれるツールはいくつかありますので、それぞれの詳細と特徴について紹介していきます。

セールステックのカオスマップ

セールステックマーケットマップ|CB Insights社
出典:セールステックマーケットマップ|CB Insights社

概要としては、CB Insights社がまとめているセールステックのカオスマップに則ってお伝えします。
CB Insights社によると、セールステックを大別すると7つのカテゴリーに分類されます。
和訳すると以下の通りです。

・営業生産性向上ツール ( Sales Enablement & Acceleration )
・カスタマーサポート ( Customer Support )
・データ分析/解析 ( Intelligence & Analytics )
・顧客関係管理 ( General CRM )
・カスタマー体験 ( Customer Experience )
・コミュニケーションツール ( Contact & Communication )
・人材の開発/コーチング ( People Development & Coaching )

それぞれについて解説します。

営業生産性向上ツール|Sales Enablement & Acceleration

営業生産性向上ツール

その名の通り、営業活動における生産性を向上させることに特化したツールとなります。
営業支援システムであるSFA等が該当します。

具体的には、いくつものサポート機能があり、日報作成や共有、営業活動記録、営業活動の進捗管理、営業成績管理や予測、抱えている案件管理、クレーム発生時の情報等です。さらにこれらをデータとして上司やメンバー、関係部署へと共有できるため、簡単に全体の把握をすることができます。

このカテゴリーは、セールステックが注目された大きな要因となっており、実際にツールの導入をして売り上げを数倍に伸ばしている企業も多くあります。

代表的なツールとして、名刺の管理やスケジュール管理等の様々な機能がある「e-セールスマネジャー」や、効率的にフィールドセールスを行えるようサポートしてくれる「UPWARD」、案件をわかりやすく進捗管理できる「Senses」等があります。

カスタマーサポート|Customer Support

カスタマーサポート

カスタマーサポートでは、顧客からの問い合わせ等のインバウンドセールスにおける効率化・生産性を高めるツールやシステムがあります。利用されている主な業界として、EC業界やサービス業界での窓口として利用されています。

具体的な機能として、問い合わせがあった内容の音声録音だけでなく、テキストファイルのデータとして保存ができたり、メールマガジンを送る最適なタイミングを分析したりでき、営業活動の様々な業務の自動化をすることができます。

実際に導入した例として、迅速な対応をするために導入した企業で、顧客から問い合わせを受けて24時間以内に対応できた割合が65%から98%に向上させることができたそうです。

データ分析/解析|Intelligence & Analytics

データ分析/解析

このカテゴリーでは、営業活動を行なって収集できたデータを分析・解析することで、最大限活用するためのツールやシステムになります。

具体的な機能として、ビッグデータから分析・解析を行なってリードの課題抽出を行なったり、データマイニングを行うことで次の戦略を立案させたりと、高い戦略性に特化した支援ツールやシステムがあります。

AIによって、今まで行なってきた商談の分析・解析を行い、今抱えている案件に対する戦略を見出したりすることもでき、AIやビッグデータに関する専門的な知識がない場合でも、データの分析・解析が利用できるため、とても重宝されております。

顧客関係管理|General CRM

顧客関係管理

こちらのカテゴリーでは、顧客との関係ややり取りの履歴をデータ管理することにより、関係性構築のサポートをしてくれるツールやシステムになります。
代表例としてCRMがあります。

BtoC向けの営業を行なっている企業に多く活用されており、関連部署へのデータ共有や、ECサイトとの連動性が高い点が大きな特徴となっております。さらに、その他クラウドシステムとの連携も可能なツールが多いです。

具体例としては、不動産の企業で、全く顧客を抱えていない新人営業マンでもすぐに営業活動が実施できた例もありますので、CRMの導入が広がっている理由もわかります。

顧客体験・カスタマー体験|Customer Experience

顧客体験・カスタマー体験(CX)

昨今では、顧客に対してメリット等のアプローチをして受注していくだけでなく、顧客に擬似体験や感動体験を提供し売上を上げていく動きが強くなってきており、その支援をしてくれるものが顧客体験・カスタマー体験(CX)のカテゴリーとなります。

リピーター化させたり、ロイヤリティーの向上を図ったりする目的で導入している企業が多く、具体的な機能としてはニュースやコンテンツのリリースを通知したり、ポップアップ通知によりコンバージョンを上げたりという機能があります。

これらのツールやシステムを導入することで、CPAを大きく改善することが可能となり、新たな顧客層の獲得に貢献してくれるでしょう。

コミュニケーションツール|Contact & Communication

コミュニケーションツール

カスタマーサポートと同じように感じますが、コミュニケーションツールではより密接な顧客とのコミュニケーションを実現でき、インバウンドセールスの対応を効率化することが可能となっております。

具体的な機能としては、電話の入電対応だけでなく、オンラインでの面談や商談、資料やコンテンツを容易に共有できる等、顧客ベースでサポートをしてくれるツール・システムになります。

多く活用されているものとして、オンライン商談・面談になっております。これらを導入するだけで、遠方の顧客へのアプローチが可能になったり、移動時間・コストの削減ができたりと大きなメリットがあります。
詳しくはこちらをご覧ください。

人材の開発/コーチング|People Development & Coaching

人材の開発/コーチング

このカテゴリーでは、営業活動に携わる人材の開発やコーチングをするためのツール・システムになっております。
オンラインでの教育システムやアプリが多くありますが、このカテゴリーとなります。

PCやスマートフォン等のマルチデバイスで対応しているツールが一般的となっており、教育担当と直接コミュニケーションを取れるもの等も提供されております。
それらの人材開発・コーチングツールを活用することにより、結果的にブランド価値の向上が実現でき、品質の高い商品・サービスの展開が可能となった企業もあります。

具体例として、全国に支店を抱えるキリンビバレッジ株式会社では、教育内容や研修内容を動画のコンテンツとして開発・コーチングを行なっていき、それらに費やす業務時間を多く削減できたという事例もあります。

セールステックに必要となるスキル

セールステックに必要となるスキル

セールステックは様々なカテゴリーでツールやシステムを展開しており、今や多くの企業で活用されているものとなっております。
そして、今後もこの流れは成長をしていき、様々な業界や業種の営業活動はITによって進化をしていくことになります。

この進化の波に乗るためには、通常の営業スキルやテクニックだけでなく、セールステックをうまく活用し生産性を高め効率的に営業をおこなっていく戦略的な能力が必要となりますので、今回は2つのポイントに絞ってお伝えしていきます。

数値・データで判断をする能力

営業活動は、以前から数値により管理をしてきており、売れる営業マンはその数値に対する考え方やこだわりが強いと言われております。数値は様々なものがありますが、例えば、目標売上・件数、月間売上・件数、アポイント・商談件数等あります。

これらの数値の重要性は今後IT化によって、更に大きくなっていきます。
その理由として、様々な指標やプロセスが数値としてデータ化されていき、その内容によって営業マンはスコアリングされていくからです。

そのためセールステックを活用することで、発生する数値がどのような意味を持っており、そのためには何をするべきなのかが考えられ、判断できる能力が必要となってきます。

セールステックを上手く使いこなす能力

セールステックの登場によって、今まで成し得なかった営業活動が実現できるようになっております。そして、その恩恵は今後さらに拡大していくことが予想されております。

ただ、それらのツールを上手く使いこなせていないのであれば、ツール導入が無駄となってしまい、費用がかかるだけでなく、機会損失にも繋がります。

そのため、ツールやシステムを新たに導入していくのであれば、マネージャーや上司が率先して活用や教育を行い、会社全体で上手く使いこなす能力が必要となります。

セールステックの活用を定着させるためのポイント

セールステックの活用を定着させるためのポイント

セールステックは、導入すればその効果が発揮されるものではなく、しっかりとツールやシステムを理解して活用をし、定着させなければなりません。
そのため、活用を定着させるためのポイントについて解説を行っていきます。

活用する人から理解をしてもらう

まずは、セールステックを活用する人から理解をしてもらうことが重要となります。
営業マンからすると、今まで行ってきた営業活動と変わることになるため、新しいツールやシステムについて良く思っていない人もいます。
そのため、セールステックを導入する理由や活用することのメリットなどを共有し、しっかりと理解してもらいましょう。

さらに、セールステック導入時には、営業マンなどの活用する現場の意見を聞くようにしましょう。
どのプロセスが課題か、困っているプロセスはどこか、など意見を聞き、その解決となるツールやシステムを導入することで、理解を得やすいです。

活用の体制を整備する

セールステックを導入することで、従来までの社内体制から大きく変わってしまう可能性があります。そのため、セールステックを導入する前に活用の体制を整備しておくことも重要です。

重要なことは、「目標」と「人員配置」です。
セールステックは活用をしなければ意味がありませんので、会社全体でツールの活用をすることを目標にして、全体へ共有をしておきます。
そして、人員配置はセールステックの責任者や現場での運用の指揮をとるリーダーなどの人員を配置します。そうすることで、「誰に聞けばよいかわからない」という混乱を避けるようにします。

あとは、セールステックを導入・活用していき、改善点や課題を定期的に見直して、ブラッシュアップをしていくと良いでしょう。

セールステック導入の目標を明確化する

セールステックでは、導入することで大きなメリットを得られますが、より効果的に活用していきたい場合は、セールステックを導入することによって解決したい問題や課題を明確にして、達成したい目標を掲げるようにしましょう。
その目標に沿った最適なツールやシステムを選ぶようにすると良いでしょう。

セールステックでは多くの機能をもったツールも存在しておりますが、自社にとっては使わない機能が多くあれば費用対効果が悪くなり、マイナスになってしまいます。
自社の目標とツール・システムの機能を見て選定していくと費用対効果も高くなります。

徐々に導入する

セールステックで解決したい課題や問題が多い場合でも、多くのツールを一気に導入することはやめておきましょう。
どれだけ、自社へ貢献してくれるツールでも、多くのツールを一気に導入してしまえば、活用する現場の営業マンへの負担が多くなってしまい、活用の定着をさせることは難しいです。

そのため、課題や問題に優先順位をつけて、徐々にツールやシステムを導入していくようにすると良いです。

最後に

今回はセールステックについて詳しく解説をしていきました。
セールステックを導入することにより、企業の課題の解決だけでなく、伸び代を伸ばすことにも繋がってきます。

今後、より一層人材不足が深刻化していくことは目に見えているため、今から行える改革をし、営業活動を躍進していきましょう。

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