マーケティングと言う言葉を使う事が多いと思いますが、そのマーケティングの流れをよく知らないという方も多いかと思います。マーケティングプロセスは様々な形があると思われていますが、実際に経営学という観点で見ると決まったプロセスがあります。
今回は、そのマーケティングプロセスでよく活用されているプロセスを6つ紹介致します。ご参考にしていただければと思います。
マーケティングプロセスとは?
マーケティングプロセスとは、マーケティング活動の一連の流れを指しております。
一般的なマーケティングプロセスでは、主に以下6つに分けられております。
- マーケティング環境・市場分析
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- マーケティングミックス
- マーケティング戦略の実行・評価
それぞれの詳細は後ほどお伝えしていきますが、分類分けをすると①〜②がマーケティング戦略立案、③〜⑥がマーケティング戦術として実施していくプロセスとなります。
このマーケティングプロセスに関しては、上記6つのプロセスを基本として行っていくことが良い意図されております。
ただ、はじめの段階である①は事業の規模や企業によってはリソースをかけられないというケースも有るかと思います。そのような場合には、「①マーケティング環境・市場分析」に関しては、できる範囲で行っていき、②〜④までのプロセスに力を入れていく方法もあります。その戦略のことを「STP戦略」といいます。
STP戦略に関しては、リソース不足の解消手段以外にもメリットがいくつかありますので、後ほど解説していきます。
マーケティングプロセスの主な6つの流れ
それでは、前述でお伝えした6つの流れの詳細をお伝えしていきます。
マーケティング環境・市場分析
マーケティングを行う上で、はじめに行い、とても重要となるプロセスはマーケティング環境と市場の分析となります。
このプロセスでは、マクロ分析とミクロ分析の両方を行っていき、分析内容と合わせて、自社の強みや弱み・顧客や市場が求める価値などを分析していきます。
環境や市場の分析でよく活用されるフレームワークは主に以下の3つとなります。
3C分析
3C分析とは、Company(自社)・Customer(顧客)・Competitor(競合)の3つの関係性や状況から現状を分析していくフレームワークで、マーケティング戦略の立案や事業計画をする際等に活用されております。
マーケティング戦略を立案するためには、自社である内部環境とは別に、コントロールをすることができない外部環境の両方を把握していく必要があります。
3C分析では、内部環境を「Company(自社)」、外部環境を「Customer(顧客)」と「Competitor(競合)」を分析の対象として行っていきます。
PEST分析
PEST分析とは、「Politics|政治」、「Economy|経済」、「Society|社会」、「Technology|技術」を分析していくことで、マクロ環境の自社への影響度を分析することができます。
マクロ環境は、先程もお伝えしたとおり、自社でコントロール出来ない外部要因のことで、具体例としては法律改定やコロナショックなどが当てはまります。
Politics|政治
法律や改正、税制、政権の交代、条例…
Economy|経済
株価や賃金動向、景気動向、消費動向、物価、為替…
Society|社会
人口の増減や世論、社会インフラ、流行…
Technology|技術
ITやAI、ビックデータ、インフラ、ブロックチェーン…
SWOT分析
SWOT分析とは、「Strength|強み」、「Weakness|弱み」、「Opportunity|機会」、「Threat|脅威」の関係性を分析していくフレームワークになります。
自社にとっての内部環境と、自社外による外部環境を分析していき、自社のビジネスにおける立ち位置を把握します。
自社から見たビジネスではなく、客観的に把握をすることができ、営業戦略・マーケティング施作の効果的な戦略立てを行うことができます。
さらに、自社のビジネスに対する理解を深めることにもつながってきます。
SWOT分析では、外部環境であるビジネスの市場環境や法律、技術革新等を分析していき、その上で自社の内部環境である強みや弱みについて分析していきます。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、マーケティングの分野では「特定の市場にいる顧客を様々な切り口で分類分けをし、属性別のグループを作ること」を指しております。ここで作成されるグループをセグメントとなります。
市場や環境の分析を行った結果を踏まえて、自社ビジネスに最適な市場を発見するためにセグメンテーションを行っていきます。
この最適な市場を発見するためには、自社ビジネスに該当する市場に存在する顧客の価値観やニーズなどを基に分析を行っていきます。そして、顧客属性(性別・年齢やエリアなど)を加えて、細かくセグメントを作成していきます。
ターゲティング
セグメンテーションのあとには、ターゲティングを行っていきます。
セグメンテーションで細かく分類分けを行い特定の市場にいる顧客のニーズや価値観を考えて、自社ビジネスにとって最適な場所・顧客を選ぶことをターゲティングになります。
自社ビジネスの強みを生かしていくため、自社ビジネスの市場動向や競合他社の存在、顧客属性などをよく考慮して選択していく必要があります。
セグメンテーションで市場を細分することに対して、ターゲティングはその中から更に見極めていくため、市場の絞り込みとも呼ばれております。
ポジショニング
セグメンテーション・ターゲティングとセットに行うべきは、ポジショニングになります。
セグメントを作成し市場を細分化しましたら、ターゲティングにより自社に最適な場所・顧客を見つけていきますが、そのターゲットに向けてどのような立ち位置で商品・サービスを提供していくかを考えていくのです。
例えば、最適なターゲティングを行えて、そのターゲットから認知されたとしても、自社商品・サービスを選択されなければ意味がありません。
その選択される要因として大きいものが「差別化」となります。
ポジショニングは、先ほどお伝えしたとおり、自社商品・サービスを「市場に存在するターゲットに対し、どのような立ち位置で」提供していくかになります。
例えば、「競合他社の商材の月額費用がある程度高いため、自社では安く提供する」や「競合他社にはない〇〇という機能をつけ、〜〜という課題を解決する」などを考えていきます。
このポジショニングでは、活用できるフレームワークで「ポジショニングマップ」がございます。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップとは、自社商材と競合他社の商材とを比較できるようにするビジュアルとなります。表計算ツール(EXCELやスプレッドシート)などを利用して作成することをおすすめします。
さらに、表計算のプログラムにはポジショニングマップで利用できるテンプレートが用意されていることもあり、テンプレートを利用して自社オリジナルのビジュアルを簡単に作成することができます。
マーケティングミックス
ポジショニングを行った後は、マーケティングミックスを行っていきます。
マーケティング戦略において、一般的には前段階である①〜④で策定された分析の結果や戦略を基に、このマーケティングミックスを行って、施策へ移行していきます。
その為、マーケティングミックスは「実行戦略」という位置づけとして定義されております。
このマーケティグミックスでは、主に「4P分析」と「4C分析」というフレームワークを利用して分析を行っていきます。それぞれについて解説をします。
4P分析
4P分析とは、「Product|製品・サービス」「Price|料金・価格」「Place|流通」「Promotion|プロモーション」を自社と競合他社で比較していき、営業・販売を行なっていく際の詳細を決めていくフレームワークになります。
どのような商品を、いくらで、どういう流れで、どうやって販売するか等の分析が可能となります。
4P分析によって、競合他社との比較ができ、その上で自社ビジネスの強みと弱みを明確にすることができ、具体的にどう販売していくかと施作を生み出すことができます。
Product|製品・サービス
Productでは、自社が販売を行なっていきたい製品やサービスも重要ですが、顧客にとって必要・ニーズのある製品やサービスはどのようなものかどうかを確認します。ここでは、デザインや品質、ブランド、アフターサービスなどの製品・サービスにおけるすべての要素を考えていきます。
Price|料金・価格
Priceでは、実際に販売する価格の分析を行います。
営業戦略における価格の設定は、とても重要です。その価格は、適した価格にしなければなりませんが、利益がどのくらい出るか、競合他社の内容と価格の折り合い、価格帯別の顧客層を考え決定していきます。
Place|流通
Placeでは、流通の経路や販売場所を分析していきます。
自社製品・サービスのターゲティングにマッチした流通経路や場所を分析していくことが重要です。
この、流通を通じて顧客は製品・サービスとの接点を持つことになりますので、売上向上などの成果へ繋がりやすい重要な要素と言えます。
Promotion|プロモーション
販売促進を行なっていくプロモーション施作を分析していきます。
ターゲット層に適した施作を考えなければなりません。営業ですと訪問販売になるのか、テレアポを行うのか、問い合わせフォーム営業をするのか、営業ではなくインターネット広告を行うのか…等様々な方法がありますので、その中で決定しましょう。
4C分析
4C分析とは、製品やサービスを新たに生み出す際に用いられる分析手法・フレームワークとなります。
「Customer Value|価値」「Cost|料金・経費」「Convenience|利便性」「Communication|コミュニケーション」の4つの言葉の頭文字を取っており、そのそれぞれに最適な選択を行うことで、顧客の望ましい反応を獲得できるように分析を行っていきます。
前述で紹介した4P分析と少し似通っていますが、より顧客主観で考えられた分析手段と言えます。
一般的には、4C分析と4P分析のどちらも活用して分析を行っていくことにより、顧客視点・自社視点の両方を確認することができ、双方のギャップを図ることも可能で、そのギャップが戦略として改善すべきポイントとなります。
Customer Value|価値
顧客が製品やサービスに対して感じる価値のことを指します。
例えば、「使い勝手が良い」や「お洒落」、「簡単に使えて自分の手間が減る」など、機能面だけでなく、抽象的・定性的な価値も含まれております。
Cost|料金・経費
製品やサービスを導入・購入することによって顧客が支払うべきコストのことを指します。
もちろん、金銭的な部分も含んでおりますが、それだけでなく導入・購入するまでの手間や工数などの負担も含まれております。
Convenience|利便性
顧客が製品やサービスを入手できるまでの工数を指しております。
例えば、購入できる場所や時間、エリアなどのアクセス面や、決済方法などの購入できる手段、WEBサイトやアプリケーションでは検索粒度や操作性など、入手するまでに発生するすべてのアクションの工数が含まれております。
Communication|コミュニケーション
自社と顧客の接点のある手段やチャネルのことを指します。
例えば、対面や電話、SNS、イベントなどに加え、問い合わせフォームなども含まれております。
マーケティング戦略の実行・評価
最後にマーケティング戦略の実行・評価になります。
ここまでのプロセスで策定してきたマーケティング戦術・施策を実行し評価を行っていきます。
実行自体は決まったとおりに動いていくだけですが、重要な点は「評価」になります。
実行前に策定したマーケティングミックスにて設定したKPIが評価で生かされていきます。
評価では、シンプルな良し悪しという全体的な評価ではなく、マーケティングプロセスのどの箇所が問題・課題があるのかを発見することが重要となります。
例えば、セグメントは当てはまっていたもののターゲティングが違った、などの問題が発見できます。
集客やリード数、商談などのマーケティング活動それぞれにKPIを設定しておくことで、どの箇所が間違っていたのか確認できますので、しっかりと評価を行っていきましょう。
最後に
今回は、マーケティングプロセスについて解説を行ってきました。
正直、様々なフレームワークを使って分析して、商品やサービスを開発・提供していたという企業も少なくないのではないでしょうか?
実際に、フレームワークや手法というものは、使うべきタイミングで使い、最終的な評価まで行えて、初めて活用できたと言えます。
その為、しっかりと自社や市場、競合、顧客など関係するすべてを見直して、マーケティング戦略を立てていき、さらなる発展を遂げていきましょう。