営業マンの人口の推移を考えたことがありますでしょうか。
総務省の調べでは、2001年の営業職(販売従事者数)は968万人でしたが、約20年後2018年には864万人で約100万人以上数が減っているという結果が出ています。
その原因は、インターネットの普及や、流通構造の革新・合理化等様々あると言われています。WEBマーケティングやコンテンツマーケティング等で自社への認知を広め、営業マンがいなくても売れる仕組みづくりを作れている会社は営業マンを雇用しない・数を減らしているということでしょう。
さらにコロナ禍において営業という職種はいっそう難しい職種になったと言われています。
では、どうしていけばいいのでしょうか?
自社にも営業マンがいなくても売れる仕組みづくりを導入するべきでしょうか?ただ、最速で効果が出やすいインターネット広告はその分の費用がかかりますし、WEBマーケティングやコンテンツマーケティングで地道に対策を行っていくことは時間がかかります。
WEBマーケティングはもちろんどのような業界の会社であっても今後必要になりますので、伸ばしていく必要がありますが、それと並行して営業マンを伸ばしていく方法がおすすめです。
伸ばしていくとは能力のことであり、数少ないチャンスをしっかりと掴み取れるように成長をさせていくことで、将来的な価値も高められつつ、現在でもしっかり業績を伸ばすことができます。
その為の一つとして、営業マンのコミュニケーションスキルを今回お伝えしますので、自社の営業マンをできる営業マンにしていきましょう。
営業マンのできる・できないは営業トークの違い?
できる営業マンとできない営業マンの営業トークはどのような点が違うのでしょうか。
結論から言いますと、物凄く大きな違いはなく、ほんの小さなズレです。
ただ、その小さなズレがクロージングまで進むと、「受注できる」と「受注できない」に分かれてしまいます。
ただ、修正しようにも違いは「ほんの小さなズレ」である為、わかりにくく修正も難しいです。
ただ、今回は紐解いて説明をしていきます。
できる営業マンのトークとできない営業マンのトーク
そのほんの小さなズレを部分的に紹介すると上記のようになります。
主語や話し方、表現、表情が違うことがわかります。
このように、主語を自分自身ではなく、相手に寄り添う形で変え、トークの話し方・伝え方と表情・表現を変えるだけで相手からの話の食いつきがまるで違うようになります。
これは、通常のテレアポや訪問営業のような顧客と声で対話する営業だけでなく、メール営業やフォーム営業等のインサイドセールスでも利用できる基礎テクニックになりますので、改善してみましょう。
できる営業マンの営業トーク構成
できる営業マンはトークの構成を考えて話しております。
基本的な営業トーク構成は下記になります。
- 挨拶
第一印象が決まる挨拶。挨拶の際は明るい雰囲気で挨拶を行いましょう。 - 雑談
天気や時事等の相手にとって面白くないことではなく、相手の喜ぶような話題、質問、共通している話題を振りましょう。商談を始める場を整えるという感覚で行いましょう。 - 情報提供
相手にとって役に立つ・役に立ちそうだという内容を事前に準備し、提供しましょう。この情報提供の質や量によって、今後のヒアリングに関わってくる為、必ず行います。 - 現状や課題のヒアリング
現状と抱えている課題のヒアリングを行いつつ、自社の商材で解決できないか、アピールポイントを探っていきます。受注に直結してくるフェーズになりますので、質問責めにならないよう、深掘りを行っていきます。 - 役立てそうだと明示する
役に立てるではなく、役立てそうと思わせられるように商材のポイントを小出しにしていきましょう。 - 感触を把握
課題解決をすることに興味・関心がどのくらいあるのかを判断します。不十分だと感じた場合は、前のフェーズに戻りアプローチを再度かけます。 - 商品説明
課題解決や未来に起こりうるリスクの回避策としていかに有用か、役に立てられるかアピールポイントをもとにアピールしていきます。ここでは、提案資料やカタログベースではなく、ヒアリング内容ベースでトークをしましょう。難しい場合、提案資料やカタログページのトーク内容を「御社の場合だと…」等に少しずつ変えて話します。 - FAQ
あらかじめ、FAQを作成したうえで、質疑応答をしましょう。不安点や不明点をしっかり解消します。ただ、相手から質問が少ない・質問がない場合は、相手が不安に感じそうな点を作成したFAQから引っ張ってきて伝えましょう。 - クロージングor次回訪問予定
そこで、相手の熱が高まっている場合は、クロージングを行い、進めていきましょう。ただ、まだ難しそうな場合や、判断が難しい場合は次回の訪問予定をその場で決めて終了します。
この流れをどのような商材でも対応するように大別すると
- 場を整える
- 話題の拡張
- 顧客満足度向上
となります。
それぞれを解説していきます。
場を整える
場を整える必要性を考えたことはありますでしょうか。
営業は、お笑いと似ている点がたくさんあり、「場を整える」はお笑いで言うところの「つかみ」となります。
お笑いにとってのつかみは、お客様の心を“つかむ”ために行う発言やギャグになります。行う理由としては、緊張感をなくし、心を掴みお笑いに集中してもらい、ネタが受けやすくなる為です。
営業の現場でも、顧客の緊張感をなくし、心を掴み商談に集中してもらい、今後の商品やサービスの提案に耳を貸してもらう為に行います。
一般的には、場を整えるのは「雑談」のフェーズで行います。
雑談には3つのポイントがあります。
それが前述で話した、「相手が喜ぶような話題」・「相手が知っているである素朴な質問」・「共通している話題」です。
このポイントがわかっていない方は、大体、天候や時事について話してしまうでしょう。
天候や時事については話したところで全く商談と関係ありませんし、話題が盛り上がることもなく、商談をいざ始めると話題の緩急が激しく相手は混乱してしまいます。
このポイント内の雑談を行い、スムーズにトークを繋げ商談に入れるようにしましょう。
話題の拡張
相手との話題の広げ方は、いくつかあるが営業マンとしての姿勢は「相手への同調」これに尽きます。
その為、聞き手に周り深掘りをしたり、話している話題に対して大袈裟なくらい相槌を打ったりすることで、話をすることが気持ちのいい空間を演出してあげましょう。
顧客満足度向上
今までお伝えした、「場を整える」や「話題の拡張」も成功したが、次回の訪問の約束ができなかったというのはよくあるケースです。
その大きな原因として「顧客満足度」にあります。
その際の訪問で相手が満足をしていた場合は、確実に次回も訪問してほしいと思いますが、相手が考えている満足レベルに達していない場合、上記のように約束ができず訪問できないとなってしまいます。
ここを改善するのは簡単で、いかに準備をするかで顧客満足度は大きく変わってきます。
相手にとって有益な情報や、課題の発見、課題に対してヒントや解決策を提示できるかを訪問前に準備しましょう。
しっかり準備した場合、その熱意は伝わり、その準備物により相手の満足度は上昇します。反対に、準備次第で満足度が低下するということもありますので、注意をしましょう。
できる営業マンのコミュニケーションとは
営業マンは、コミュニケーション能力が必要と思っていたり、上司から言われた方が多いと思いますが、営業マンにとってのコミュニケーションとはどういうものでしょうか。
辞書でコミュニケーションを調べると、“気持ち・意見などを、言葉などを通じて相手に伝えること”と出てきますが、営業マンのそれとは違います。
というのも、日本語の特性は「言葉」だけでは複雑な意味があり、伝えることが難しいため、その定義ではないということです。例えば、謝罪を意味する「申し訳ない」と、自分の何かを他人がやってくれた際に使う「申し訳ない」と二つの違う意味を持つ言葉はたくさんあります。
でも日本人はその言葉を伝えている状況と表情など、その背景を見て、どちらの意味を指しているのかを判断します。
要約しますと、営業マンにとってのコミュニケーションは、聞き手である受信者と、発言をしている発信者、その両方をつなげ円滑に意思疎通を行える土台が必要だということです。
できる営業マンのコミュニケーションのコツ
それでは、実践的な内容を3つの観点でお伝えしていきます。
土台を作るコツ
5W1Hという言葉がありますが、トーク内容を「だれが」「いつ」「どこで」「なにを」「なぜ」「どのように」話すかによって、言葉の意味と土台は変わってきます。
このように、何を話すか等のコミュニケーションによって土台をコントロールできます。
相手の話に同調するや、明るい表情で話す等のテクニックもありますが、できる営業マンがその土台を作るために行なっているコツは主に下記5つです。
- 誰でもわかるような一般的な話から仕掛ける
- 他社の成功事例を混ぜ話す
- ホットな単語や話題を投げる
- 同じ業界や業種の話をする
- 自社の実績や事例を話す
受信者としてのコツ
営業にとって相手の話を引き出す聞き手としての能力は非常に重要になります。
それは、ヒアリングだけで必要というわけではなく、雑談や商談中にも重要になってきます。
そして話を引き出すことが容易に行えるスキルが「質問スキル」になります。この質問スキルがあるかないかが、できる営業マンか否かを分ける大きな要因といっても過言ではないでしょう。
この質問スキルは、できる営業マンのセンスが高いから使えているというわけではなく、質問方法を知っているかどうかですので、覚えるだけで質問スキルは身につけられます。
できる営業マンの質問方法を5つ紹介します。
①確認
質問の導入部分に確認をしたい旨伝えると、その後の質問に対する相手の心の準備ができ、答えやすくなります。
「はじめにご確認させていただきたいのですが、今〜〜にかかる費用が高いなと感じたことはございませんか?」
②他社の現状
他社の現状を鎌かけてもいいので、具体名は出さず「他社はこうしていますが、御社はどう?」と聞きましょう。
「現在、〜〜の費用が〇〇万円超えている企業では、△△のようなサービスを導入されていますが、御社では…」
③選択肢
考えられる選択肢を提示し、相手が答えやすいようにしましょう。回答によってさらに深掘りするか同調をし、話題を拡張していきましょう。
「店舗での販売を今はされていますが、今後はインターネットにも力を入れ販売経路の拡大を考えられているのでしょうか?それとも、ローカルビジネスとして追求をしていくのでしょうか?」
④深堀り
何か大きな変更や、抱えている課題に対して何故をきくことで、その本質を確認できます。ただ、抽象的に聞きすぎると相手は面倒くさくなりますので注意が必要です。
「創業当初から実施されてきた営業スタイルをかえるとのことですが、変えると思った背景は…」
⑤獲得できる小さな同意
Yes取りと言われるような手法になります。小さな同意を獲得していき心理的な相手の心の扉を開けていきましょう。
商品やサービスの説明後に「他社や異業種の事例がありますので、次回お持ちいたしましょうか?」と聞き、「お願いします」と小さな同意を獲得する
発信者としてのコツ
発言をすることで、相手に伝えたいことを伝え、営業をかけていくフェーズになりますが、話すことは、言い換えると「伝えること」になります。
いくら、メリットを話したところで相手に何も伝わってない場合、話せていないことと同義です。
ただ、営業マンの話すことは「伝えること」と考えるとどうでしょう。
伝えるためには、「言葉」だけではなく、イメージしやすいようにグラフやデモ画面、イメージ画像、事例等を用いて伝えられるように話しますよね。
この根本をしらない営業マンが、言葉だけで伝えようとするため、「できない」ことが多いです。
自社の商材を相手へ魅力的に伝える為の方法を3つご紹介いたします。
商談で実際に使ってみましょう。
- 商材説明より先に、ベネフィットを話す
- 提案資料やカタログなどの順番ではなく、相手に合わせて話す順番を変える
- 事例と活用者の声をトークに入れ込む(第三者話法)
最後に
今回のパートでは、根底の話を中心に行なってきました。
コミュニケーションスキルは営業マンにとって重要な要素であり、成果をあげやすいスキルになりますので是非覚えて活用ください。