みなさま、営業を行なっているとほとんどの確率で反論やネガティブなことを言われることありますよね。
そのような時に使われる「切り返しトーク」について今回はお伝えしていきます。
切り返しトークは、感情やその場しのぎのトークでは絶対に成功しません。
そのためにトークを学ぶ必要があります。
そして、切り返しトークのゴールは相手が受け入れてくれない際に、持っていきたい方向へ再度導き最終的なゴールへと向かうことです。
アポイントを獲得したい場合はアポイント獲得へ、商談を行なっている場合は成約へ向かうために重要な要素となります。
今回は、切り返しトークについての前提や切り返しの5ステップ・テレアポ時の切り返しトーク例をご紹介しますので、ご活用いただければと思います。
切り返しトークの前提
切り返しトークと聞くと、多くの方がエビデンスや話術で相手の反論を論破して、逃げ道を塞いでいくことだと考えると思います。
この考え方は、半分正解で半分間違っております。
この考え方ですと、言い負かしてしまい購入させられたという感覚になる方が多くなってしまいます。購入させられたと感じてしまいますと、何か問題が発生した場合にクレームになる可能性が高くなり、全体で見た際の売り上げ向上にはつながらないでしょう。
そのために、何が必要かというと、相手の感情を読み解くことになります。
なぜ反論をしてきたのかを考えましょう。
それは、「この場で購入を決めるのは不安」や「相見積もりをとっており今決めたくないから」、「断りたいけど、はっきり断れない」等…、様々な理由が考えられます。
それらを汲み取り、相手に寄り添ったトークの構成にしていくことで、親身になって考えてくれていると感じられ、成約にも繋がりやすくなります。
この前提は、切り返しトークだけではなく、通常の営業トークにも重要なことですので、意識して営業を行いましょう。
切り返しトークの基本5ステップ
受け止める【切り返しトークステップ①】
相手より反論が来た際に、すぐに切り返しトークを行う営業マンがとても多いです。
ただ、それは相手からすると切り返しではなく、単なる否定に他なりません。
一方的な会話では、相手は心を閉ざしてしまい、求めているゴールに達することは不可能です。
そのため、どのような反論でも必ず受け止めることを心がけましょう。
相手を理解する【切り返しトークステップ②】
前提の部分でもお伝えした通り、まず相手を理解しなければなりません。
そのためにも、相手の話をきちんと聞くことを徹底しましょう。
相手を理解しないまま、切り返しトークを行なったとしても、相手に言葉は刺さりませんし、強引に買わせようとしていると感じられてしまいます。
そのために、しっかりとヒアリングをしておき、相手に沿ったトークを行いましょう。
ヒアリングについてはこちらをご覧下さい。
https://valuebet-inc.com/sales/hearing-basic/
反論に共感をする【切り返しトークステップ③】
受け止め、ヒアリングをした際に、「ただそうではなくて…」と共感せずに話を進める営業マンも多いです。
これも、自分の話・気持ちを理解してくれていないと感じられるためいけません。
しっかりと、相手の反論に対して共感を行います。
それは、自分目線で「確かに、そうですよね」、「わかります。そう感じてしまいますよね。」と共感してもいいですし、第三者を引き合いに「そうですよね、そういう方も多くいらっしゃいます。」、「先日も〜〜会社の方が同じこと言っておりました。やっぱりそうですよね。」と共感してもいいです。
認識の確認を取る【切り返しトークステップ④】
共感をした後にすぐ切り返しトークを行うのではなく、一度認識の確認を行いましょう。
ここでは、相手が感じられている課題や問題、不安点等にフォーカスして質問を行い、認識にズレがないかを確認します。
そのズレを確認することにより、トークをスムーズに進めることができ、相手もしっかりと自分のことを考えてくれているという好印象を与えることができます。
「ここまでを整理しますと〇〇ということでお間違い無いでしょうか?」
「一番感じられている課題は〇〇ということで間違い無いですよね?」
切り返しトーク【切り返しトークステップ⑤】
そうしましたら、はじめて切り返しトークを行っていきましょう。
これまで、反論を受け止め、相手を理解し、共感を行い、相互の認識確認を行ってきましたので、その中で相手に寄り添ったトークを行い、反論を優しく返していきます。
方法はいくつかありますが、よく使われる技法として「すり替え」というテクニックがあります。
すり替えは、相手の考えている前提をすり替えることで、こちらのゴールへ導く方法となります。
例えばですが、「価格が高い」という反論に対して、切り返しを行うのであれば「競合他社との価格比較表」等を用いて比較を行うことを考えつくと思いますが、すり替えに関しては「商品やサービスに対しての価格」ではなく「商品やサービスを使うことの価値に対しての価格」という前提に変えてあげるだけでも、相手の見方は変わってきます。
切り返しトークに正解はありませんが、このように順序をおって切り返しを行うことにより、相手に寄り添った営業を行うことができ、双方が気持ちの良い時間に変えることができます。
その結果、その場の売り上げだけでなくLTV(Life Time Value|顧客生涯価値)の向上に繋がり会社にとっての利益も大きくなります。
切り返しトーク例5選|パターン別
今回は、切り返しトーク例を反論のパターンに応じて解説していきます。
今回は下記5つについてお伝えします。
この5つはとても多い断り文句ですよね。なかなかアポイント獲得率や成約率が上がらない営業マンは、下記の反論に対して的確な切り返しトークができていない場合も少なくありません。
・検討します
・忙しい
・現状必要ない
・興味がない
・予算をかけられない
では、それぞれ解説していきます。
検討します
顧客は、その場で決めることを嫌います。そのため、話をある程度聞いた後に、「検討してご連絡いたします。」等の理由で断ってきます。
この場合は、今決めたくないため時間を稼ぐという理由で言ってきている場合が多いです。そうではなく、本当に検討したいから言ってきていたとしても、時間経過とともに購買意欲も低下してしまいます。
なぜ今決めたくないのかを考えた際に、不安である可能性が高いため、切り返しトークでは初めに、不安点のヒアリングを行いましょう。
切り返しトーク例
「ありがとうございます。
何か気になる箇所でもありましたでしょうか?ご検討いただけるのであれば、ご不明点・ご不安点の解消をさせていただきます。」
このトークで重要なことは、検討いただくことに対してまず感謝の言葉を伝えるということです。
その後に、不明点や気になっている箇所、もしくはこの場で決められない理由のヒアリングを行います。ただ、ここで強くヒアリングを行なってしまうと不快感を与えかねませんので、慎重に行います。
「検討します」と言われた場合は、聞く耳を持っておらずただ単に断りたいだけの顧客も多いため、ヒアリングをしても進展しない場合は、再電話の予約を取り付け後日(1週間以内)に連絡をします。
忙しい
テレアポの場合、「忙しい」や「時間がないから」という理由で断ってくる方も多いです。この断りを行う理由は、営業電話が長引いてしまうから面倒だという心理からきます。
切り返しトーク例
「そうですよね、お忙しいところ申し訳ございません。
2〜3分程度で終わりますので、お時間いただけませんか?」
このトークで重要な点は共感をして、相手の許容できる範囲の時間を具体的に提示することになります。
了承を得た際には、早口ではなく伝えるトークを厳選して伝わりやすくしましょう。この際に相手の情報や課題の仮定を行なっているとスムーズに納得してもらえるでしょう。
最後に、
「本日はお忙しいようですので、お伺い(または、WEB商談)のお時間をいただきたいのですが、〜〜(候補日)か〜〜(候補日)でしたらどちらがご都合良いでしょうか?」
と、クロージングに入りましょう。
現状必要ない
「現状必要ない」と反論された場合は、相手にメリットや価値が感じられていない(伝わっていない)可能性が高いです。
この場合は、しっかりと御社にとってのメリットや価値を伝えていくことが重要です。
ただ、「必要ない」という反論が多い場合は、トークの構成を変え、よりメリットや価値を伝えられるようにすることも考えましょう。
切り返しトーク例
「現状の課題点を〜〜を用いて低コストに実現できたらどうですか?」
必要ないと断られた後に、再度商品やサービスの紹介をしていると相手は断っているのに一方的に話してきたと不快に感じてしまいます。
そのため、商品・サービスを活用した際の未来を想像させるようにトークをしてみましょう。
もしくは、驚きを引き出していくこともお勧めです。
「そうですよね、やはり〇〇様のように考えられている方は皆様はじめ必要ないといわれます。
ただ、そうおっしゃられた方は皆様導入されておりまして、、なぜかというと…」
と、共感後にそういう方も導入している理由を伝えることで、相手は「何で?!」と驚き、話を聞いてしまいます。
興味がない
「興味がない」と言われた場合、その商品やサービスを使って解決する課題を大きく捉えていない可能性が高いです。
その理由は、「その課題を課題として認識していない」、「課題とは認識しているものの商品やサービスを導入しなくても解決できると考えている」、「課題解決のために他社の商品・サービスを既に導入している」等の理由が考えられます。
課題を認識していない場合は、中長期で見た際のリスクを伝えて大きな問題として捉えさせ、自社で解決できると考えている場合はその解決のためにコストやリソースがどれくらいかかるか等の費用対効果を伝える、他社を導入している場合は他社を否定せず、導入している上での不満点や改善してほしい点をヒアリングしていくことが重要となります。
切り返しトーク例
課題として認識していない場合
「そうなのですね、確かに今問題ないのであれば興味ないですよね。
そのような方にもこれだけお伝えをしているのですが、今後〜〜のような事態が起きた場合、〜〜というリスクが発生します。そのため…」
ここでの重要なポイントは、中長期での視点でその課題を見ていただき、課題として認識させられるかどうかです。
認識させられなければ、ニーズは生まれませんので、トークの引き出しを多くして相手にあったトークを行いましょう。
課題を自社で解決できると考えている場合
「確かにそうですね!社内で解決できるに越したことはありませんよね!
以前ご提案した会社様もはじめはそうおっしゃっておりまして、実際に社内で解決をしようとされていたのですが、〜〜の問題や〜〜が発生して…」
ここでの重要なポイントは、解決できると考えている企業に対して、コストやリソースを抑えて解決できるのであればその方が良いよね、ということを理解させる必要があります。
類似業界での失敗談や実際の費用等のトークをスムーズに行えると良いでしょう。
他社の製品を導入している場合
「〇〇の〜〜ですか!とても良いですよね?評判が良いので導入されている企業も多いですね!
それでしたら、何も改善してほしい点はありませんよね?」
ここで重要なポイントは、絶対に否定をしたらいけないということです。必ず褒めましょう。
ただ、他社の製品を導入した現状を不満なく満足している企業は少数派です。そのため、いかに他社製品の不満点や改善してほしい点を聞き出せるかが勝負となります。
何かしら、不満点が出てくればそこから自社製品との比較を引き合いにトークを行い、出なければ仮定してある不満点をこちらから伝えてトークをするのもアリです。
予算をかけられない
「予算をかけられない」や「価格が高い」と反論してくる顧客も多いと思います。
その心理は、本当に高い(予算がない)と思っている場合もあると思いますが、今手にしているお金を手放すことに抵抗感を感じている場合が多いです。
その心理を、切り返すためには主に2つの方法があります。
ひとつは、「費用対効果を伝える」、もうひとつが「導入しないリスクを伝える」です。
切り返しトーク例
費用対効果を伝える場合
「そうですよね、金額は安くはないですよね。
先日提案させていただいた企業様も高いねとはじめ言われていたのですが、〜〜を導入した際の〇〇(メリット)があるから、それだったらお得だねって言われて導入を…」
ここで重要なことは、高いことを共感しつつ、その金額を上回るメリットがあることを認識させられるかどうかです。メリットばかりだと人は信用しないため、一回共感することでデメリットの部分を補填する役割を担っております。
導入しないリスクを伝える場合
「そうですよね、なかなか予算をかけられないですよね。
そう言われていた企業も多かったのですが、導入せずに〜〜を行い続けることのほうが、リスクが高いねと言われて…」
「例えば数年後に導入をした場合、その分の〜〜に費やしてきたコストが…」
ここでは導入しなかった場合、どれだけコストや売り上げ等に影響してくるのかというリスクを認識させることが重要です。
万が一に備える保険の営業でよく使われる技法ですね。
最後に
今回は、切り返しトークについて、前提やステップ、トーク例をお伝えしてきました。
切り返しトークをしっかり成功させることで、成果に繋がりやすくなり、売上向上だけでなく、お互いが気持ちの良いビジネスを行うことができます。
ただ、その反面切り返しトークによって、その後の関係性にヒビが入ってしまう危険性もありますので、しっかり練習を重ねて実践にて活用してもらえたらと思います。