
KPIという言葉を耳にすることが多くなりましたが、みなさまKPIは設定されておりますでしょうか?
「KPIが重要だと何となく知っている」や「特に意識していない」人などもいらっしゃるかと思います。
ただ、KPIは経営においても、営業活動においてもとても重要な指標となっており、このKPIを設定していない企業や間違った設定をしていると成果に繋がりにくい可能性もあります。
反対に設定している場合は、営業活動を客観的に分析しPDCAを回すことも可能で、効率的に成果へと繋げやすくなります。
今回は、営業活動において設定すべきKPIについて解説を行なっていきます。
ぜひ、ご参考にしていただければと思います。
KPIとは

KPIとは、Key Performance Indicator(キー パフォーマンス インジケーター)の頭文字を取った言葉で、「重要業績評価指標」と言われております。
似ている言葉でKGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)がありますが、KGIが最終の目標設定に対して、KPIはその最終目標を達成するための業務を数値として管理していくものです。
具体的に言いますと、利益目標を100万円で設定します。そうするとKGIが利益100万円となり、その100万円を達成するために10,000円のAという商材を150人売る必要がある場合、A商材の顧客数150人増加がKPIになります。
上記はとてもシンプルな例ですが、実際には顧客数だけでなく、販促費や販売する商材など様々な要因によって変わりますので、その中で重要な数値をKPIに設定していくことが一般的になります。
KGIだけでなく、KPIが設定されていない場合は、活動の方向性がわからず営業マンが自由に営業活動を行うことになり、営業活動の再現性や安定性を保てないというリスクがあります。
反対に、KPIを設定しているのであれば、「この売上目標を達成しよう」という解像度の低い営業活動ではなく、「目標を達成するために〜〜をしなければならない」と具体的な活動指針がわかるようになり、よりよい営業活動を行うことができます。
KPI設定時の注意点

それでは、次にKPIを設定する際の注意点を解説していきます。
KPIは設定する企業によって違う
まず、はじめに設定するKPIはその企業ごとに違います。そのため、他社が設定しているKPIを真似すれば他社のようにはならないと知っておきましょう。
例えば、営業活動におけるKPIを設定する場合、建設会社とIT企業の営業活動では、業界が全く違うため設定すべきKPIはもちろん変わります。
違う業界だけでなく、同じIT企業でも事業内容や商材、業務形態は違いますので、KPIは違ってきます。
目標を達成するためのKPIを設定
前述でお伝えしたように、最終目標を達成するための指標のため、目標を達成できるようにKPIを設定する必要があります。
例えば、「テレアポの架電数をKPIにすれば目標を達成できる」と考えて設定をする企業があると思いますが、この架電数だけをKPIに設定したとしても効果は少ないです。理由としては、200件の架電数をKPIに設定をしたとしても、「200件電話したものの商談になりませんでした」となれば目標を達成することができないでしょう。
そのため、目標を達成できるプロセスを逆算し、現状のデータと組み合わせ最適かつ重要な指標をKPIとして設定しなければなりません。
KPIを設定するメリット

次にKPIを設定するメリットについて解説を行なっていきます。
KPIやKGIは業務内容によって設定する数値は違います。
例えば、会社全体のKPIと営業マンのKPI、営業マネージャーのKPIはそれぞれのKGIも違うためKPIももちろん違います。
そのため、今回は営業マネージャーと営業マンの2つの観点からKPI設定のメリットをそれぞれ解説していきます。
営業マネージャーにとってのメリット
営業マンの営業活動を細かく把握することができる
営業組織を管理する営業マネージャーは、その営業組織全体の売上がKGIとして設定されるケースが多いでしょう。
例えば、2,000万円の売上目標をKGIとして設定されており、営業組織内の営業マンの人数が20人、全員同じ目標であれば1人につき売上目標は100万円となります。
1人あたりの目標がわかれば、その達成の為に活動の目標を設定していき、営業マンのKPIを設定することにより、活動の進捗を細かく把握することができるでしょう。
進捗を把握できるようになると、現時点での目標達成率や設定しているKPI(訪問数・架電数・商談実施数など)で何が不足しているのかを把握でき比較でき、営業活動の見直しや営業マンに対しての具体的なフィードバックも可能になり、KGI達成の確率を高めることができるというメリットがあります。
情報や状況の共有が正確かつスピーディーに行える
マネージャーであれば、社長や部長などの上司や連携を行なっている他部署に対して現状の営業活動における情報や状況を共有しなければなりません。
その際に、KPIを設定しておくと、最終目標に対して現時点でどれだけ達成しているのか、どう改善を行なっていくのかなどを正確かつスピーディーに共有することが可能になります。
当たり前だと感じますが、とても重要なことです。
例えば、営業チームの他にマーケティング部署があるのであれば、最終目標の達成が難しいと判断した場合、すぐにマーケティング部署に助力を求めることも可能です。この達成が難しいと判断することと共有が迅速に行えることにより、今まで以上の連携を行うことができるでしょう。
営業マンにとってのメリット
営業活動の効率化を行える
営業マンにとって一番のメリットは、営業活動の効率化を行えることになります。
具体的には、KPIの設定によって営業活動の具体的な指針や方向性をしっかりと把握することができ、効率的に営業活動を行えるようになります。
例えば、商談数が少ない場合、その原因は「架電数が少ない」か「ターゲットがマッチしていない」、「営業力が足りていない」等が考えられ、それらの原因を突き止め改善を行うポイントを知るに繋がります。
ただ、売上目標だけ設定している場合は、自身の商談数が少ないかを定量的に把握することはできません。
さらに、他の営業マンとKPIを比較してみて、差異があるのであれば営業活動の改善点を発見することが容易になり、PDCAのサイクルを早めることにも繋がります。
情報や状況の共有が正確かつスピーディーに行える
営業マネージャにとってのメリットの際にもお伝えしましたが、営業マンからしても大きなメリットとなります。
営業マンはマネージャーや上司に対して、営業活動の報告を行う必要があります。
営業活動のプロセスに対して最適なKPIが設定されているのであれば、どのプロセスをどのように改善すればいいのかという今後のプランを立てやすくなります。
計画したプランによってマネージャーからしても、今後の営業課題をしっかりと把握でき、適切なフィードバックや指示を行え、成果へと繋がっていきます。
KPIの設定方法

KPIを設定するメリットについてはご理解いただけたかと思います。
ここからはKPIの設定方法について、順番に解説を行なっていきます。
設定方法の流れは以下のようになります。
- KGI設定
- 営業プロセス・数値候補の洗い出し
- KPIの設定
- PDCAにて定期的に見直し
それぞれについて解説を行なっていきます。
KGI設定
まずKPIの前に、最終目標のKGIを設定しましょう。
KGIがなければ、KPIを設定することはできません。
KGIを設定する際に注意するポイントは、具体的な数値を設定しなければならない。
例えば、売上や利益などです。反対に、顧客満足度の向上などは数値に置き換えることができませんので、KGIには設定しない方が良いです。
それと、実現可能な範囲内で設定をしましょう。
実現することができない目標を設定したとしても、モチベーションが下がるだけです。
すぐに達成できるような目標も駄目です。そのため、実現可能な範囲内で頑張って営業活動を行わなければ達成できない数値を設定しましょう。
営業プロセス・数値候補の洗い出し
次に、営業プロセスと数値候補を洗い出していきます。
具体的に営業プロセスの洗い出しとは、「テレアポでアポイント獲得を行い、訪問して商談を行なう」のであれば、営業プロセスは以下のようになります。
- テレアポ
- 商談までの顧客フォロー
- 商談
- 成約・アフターフォロー
上記は、シンプルにした例ですが、このように現段階での営業プロセスを全て書き出していきます。
そして、洗い出した営業プロセスの中から数値として管理できるものを確認していきます。例えば以下のような数値です。
- テレアポの架電数
- テレアポの架電成功率
- アポイント獲得数・獲得率
- 商談数・商談化率
- 成約数・成約率
営業プロセスでは上記のような数値を洗い出します。その他にも、営業活動を行なっている上で「クレーム数」や「解約数・解約率」などの数値も出てくるかと思います。
そのような数値も出していきましょう。
KPI設定
次にKPIを設定していきます。
KPIの設定時には主に3つの注意点と設定のポイントがございます。
実現可能な数値を設定
KGIでもお伝えしたように、KPIでも同じように実現可能な数値を設定します。
ここでも、「顧客満足度の向上」のような数値換算できないものや、達成ができない目標を設定しないようにします。
KGIにつながるKPI設定
当然ではございますが、KGIにつながるKPIを設定しなければなりません。
例えば、1,000万円の売上目標がKGIであれば、「売上1,000万円を達成するために何が必要になるか」をしっかり考えて設定しましょう。
SMARTを意識する
KPIを設定する際は、「SMART」を意識するようにしましょう。
SMARTは、企業がKGIを達成するための一つの目標設定方法となります。
- Specific(具体的な目標か)
- Measurable(数値として計測できるか)
- Achievable(達成可能な数値目標か)
- Relevant(最終の目標や企業全体の目標と関連しているか)
- Time-bounded(達成の期限は決まっているか)
上記の5つを意識して設定することにより、KPIの効果を高めることができます。
PDCAにて定期的に見直し
KPIは設定したら終わりではありません。
しっかりと期限を決めてPDCAを回し、見直し・改善を行なっていきましょう。
初めて設定したKPIの場合、適切でない場合もあります。
適切でないKPIを追っていても、営業効率が悪くなるだけですので、PDCAは必須です。
営業におけるKPI5選

続いて、営業におけるKPIを5つ紹介いたします。
実際に活用されることが多いKPIになりますので、現状のKPIの見直しや設定していないのであればKPI設定のご参考にしていただければと思います。
紹介するKPIは以下になります。
- アプローチ数
- 成約率(CVR|コンバージョン率)
- 案件数
- リードタイム
- 単価
それぞれについて解説を行なっていきます。
アプローチ数
当たり前のことですが、どのような目標を達成するにしてもアプローチをしなければ、アポイント獲得や商談、成約を行うことができません。
そのため、アプローチ数をKPIとして設定する企業が多いでしょう。テレアポであれば“架電数”、訪問営業であれば“訪問数”になります。
注意点としては、成約につながる可能性がある数のことを指している点です。
例えば、住宅の営業を行なっている場合、モデルハウスに来た小学生に対して営業を行っても成約になる可能性はありませんので、アプローチ数には含まれないです。
成約率(CVR|コンバージョン率)
次に成約率になります。成約率も営業組織のKPIに設定されることがとても多いです。
具体的には、商談実施数が100件だったとして、成約率が5%であれば成約数は5件ですが、50%の成約率であれば同じ成約数5件を10件の商談実施数で獲得することができます。
この成約率は、主に2つの指標があります。
アプローチ数に対する成約率か、商談数に対する成約率です。
一般的には後者の「商談数に対する成約率」が多いですが、追いやすい方で良いかと思います。
商談数に対する成約率の求め方は以下の通りです。
成約率 = 成約数 ÷ 商談数
案件数
営業案件の数をKPIに設定する企業も多いです。
何故かと言うと、営業マンが管理している案件の数によって働き方が変わるからです。
例えば、営業マンがキャパオーバーしてしまうほどの案件数を管理している場合、忙しくなり案件に対して雑な対応をしてしまったり、タスク漏れしていたりする可能性があります。反対に案件数が少ない場合営業マンは時間が有り余り、遊ばせてしまいます。
そのため、営業マンが抱える案件の数をKPIとして管理していき、適切な環境で営業活動を行えるようにすることも一つの手です。
リードタイム
次に、リードタイムになります。リードタイムは営業活動をして成約に至るまでにかかる時間のことになり、そのリードタイムを短縮することにより営業効率を向上させることができます。
そのため、リードタイムをKPIに設定することもおすすめです。
例えば、リードタイムが3ヶ月だった会社が1ヶ月になった場合、3倍の営業活動を行えるようになります。極端な例ですが、リードタイムはそれほど売上に大きく影響するものです。
単価
顧客あたりの単価をKPIに設定するのも有効的です。
単価を上げることにより、顧客数が変わらなかったとしても売上は向上します。
例えば、1顧客あたりの単価が10万円だったものが、20万円に上がった場合同じ売上でも半分の顧客数で済みますので、効率がとても良いです。
最後に
今回は、営業におけるKPIについて解説を行ってきました。
KPIはお伝えしてきたように、営業活動において最も重要だと言っても過言ではありません。
営業マンをコントロールするためにも、目標を達成するためにも、会社を大きくしていくためにも、KPIは必要になりますので最適なKPIを設定していきましょう。
そうすることで、営業活動の効率がどんどん良くなっていき、売上拡大を実現できます。