昨今、リファラル営業という言葉を耳にする機会が増えてきました。
いわゆる紹介営業にはなりますが、人材不足の問題が深刻化してきたことにより、リファラル営業を活用する企業が増えてきた為です。
企業側がリファラル営業を活用して新規顧客開拓をしているのも増えてきておりますが、副業として活用されているケースも増えてきました。
今回は、リファラル営業について基礎的な内容から、メリット・デメリット、活用の方法について徹底的に解説を行なっていきます。
ぜひ、ご参考にしていただければと思います。
リファラル営業とは
リファラル営業とは、前述でもお伝えしたように「紹介営業」のことを指しております。
そのため、見込み顧客(リード)を他社・個人から紹介してもらい紹介されたリードに対して営業活動を行うこととなります。
リファラルは元々、英語でReferralと書き、「推薦・紹介・参照」などの意味を持っており、第三者から顧客を紹介してもらい営業を展開していきますので、リファラル営業と呼ばれるようになりました。
営業とは違いますが、人材採用の場面でも活用されており、自社の社員から知り合いや友達を紹介してもらい採用活動を行うリファラル採用という言葉もあります。
営業活動において、新規顧客開拓を行うための営業手法はさまざまあり、例えば「テレアポ」や「訪問営業」、「WEBマーケティング」、「セミナー・ウェビナー」等を活用してリード獲得を行なっていきます。
ただ、リファラル営業を行うのであれば、上記の施策が必要なくなり、営業活動を効率的に行え、人材不足の企業でも活用をされております。
効率的にできる理由は主に2つあり、リファラル営業を行うことで「紹介者の知人」だというフィルターがかかっており、成約率を100%に上げることは出来ないとしても、少しでも可能性を上げられるからです。
もうひとつは、新規顧客を開拓するための営業活動に工数と費用がかかるからです。
そのため、リファラル営業を行うことにより、効率的に営業活動が実現するため積極的に活用しています。
リファラル営業のメリット・デメリット
前述でメリットについて少し触れましたが、リファラル営業のメリット・デメリットについてそれぞれ解説をしていきます。
リファラル営業のメリット
新規リード獲得にかかる工数と人材を削減
リファラル営業を行う最大のメリットは、新規リード獲得にかかる工数と人材を削減できる点です。
営業活動において多くの工数と人材がかかるプロセスは「新規リード獲得」です。1件のリードを獲得するために、多くの人材リソースを割いたり、施策を行うための工数がかかったりします。
人材が不足している場合、新規リード獲得から打ち合わせ、商談、顧客フォローなど全てのプロセスを1人で行なっている企業も少なくないです。
ただ、売上を上げるためには新規リード獲得を行わなければなりませんが、その獲得に多くの時間がかかり、商談に割く時間がなく売上が上がらないというサイクルを行なっていては営業活動として本末転倒です。
ただ、リファラル営業を行うことで、新規リード獲得を行うための時間や工数を削減することができ、その分違うプロセスに人材や時間を費やすことができます。
そのため、リファラル営業は人材リソースが少ない営業組織でもしっかりと効果を出すことができる営業手法となります。
営業にかかるコストコントロールが出来やすくなる
新規リード獲得を行うには工数や人材だけではなく、費用ももちろんかかります。
ただ、リファラル営業を行うことにより、営業にかかるコストコントロールをすることがしやすくなります。
例えば、新規リード獲得を行うために、人材が必要になりますので人材を採用しますが、その際に人件費という固定費が必ずかかります。そして、その人件費を払って、リード獲得ができ、営業活動が最大限上手くいったとしても人件費はかかり続けます。
ただ、リファラル営業であれば、リード獲得しなくて良い場合は紹介を止めることも可能になっており、営業コストのコントロールができます。
反対にリード獲得数を増やした場合も、成果報酬の場合が多くコストを多くかけることで調整をすることができます。
営業対象エリアを拡大できる
訪問営業などの営業手法によっては営業対象エリアが絞られます。
そして、営業対象エリアを拡大したい場合は、それなりに人材や工数が必要となります。
ただ、リファラル営業に関しては、紹介をしてくれる第三者によって営業対象エリアを拡大することが可能です。
そのため、獲得できたリードに対して訪問したり、WEB会議システムを使ったオンライン商談をしたりすれば良いので人材リソースが少ない場合でも可能な営業活動を行うことが可能となります。
これら以外のメリットもございますが、大きなメリットを3つご紹介しました。
上記のメリットでもわかる通り、リファラル営業を行うことで、営業マンが少ない企業でも効率的かつ安定した営業を行うことが可能となります。
さらに、費用的なリスクを軽減したい企業にもおすすめの手法になります。
リファラル営業のデメリット
続いて、リファラル営業についてのデメリットを解説していきます。
リードの確度にばらつきが生まれる
リファラル営業で紹介をしてくれる第三者は、営業を主として行なっている企業や個人とは限らないです。
そのため、ニーズや課題がない企業を紹介してくる可能性も少なからずあり、その確度にばらつきが生じてしまいます。
例えば、「話だけでも聞いてみて」や「断ってもらってもいいから」といわれてアポイントをせってした場合、クロージングをしても「いや、とりあえず話聞いてみただけですが…」と断られる可能性が高くなります。
必ずしも紹介してくれる方が、自社のサービスや商品をしっかりと理解して営業を行っていないと言うことです。
自社の営業マンが営業をする場合、最終目標が成約をいただくこととなり、顧客にしっかりとヒアリングをしてアポイントを獲得していきます。
ただ、リファラル営業の場合は、最終目標はリードを紹介することとなり、その確度や質についてまでは強く言えない部分になります。
そのため、その確度や質を向上させるためにも、一定基準の条件を設定したり、紹介してくれる方に伝えたりすることが重要となります。
計画を立てることが難しい
通常の自社で行う営業活動に関しては、各営業マンに対して目標を立て、その目標を達成するためにさまざまな営業活動を行なっています。それが、営業マンの使命になるからです。
ただ、リファラル営業に関しては、多くの紹介者は、「商材を求めている企業があれば、紹介する」と考えており、その紹介者をコントロールすることは出来ません。
そのため、リファラル営業をメインの営業手法とする場合、売上を読むことができず計画立てするのが難しいという状況になってしまいます。
デメリットに関しては、上記のような点が大きいでしょう。
見ていただいたらわかる通り、どちらのデメリットも社員のようにコントロールすることができないという点がリファラル営業の弱点にはなります。
営業マンという人材を確保できない企業でも効率的に営業活動を行えるものの、想定通りの成果が出るという保証はありません。
そのため、リファラル営業だけで売上を立て続けていくより、その他の営業手法と併用して行なっていくことが良いでしょう。
リファラル営業の仕組み
次に、リファラル営業の仕組みについて解説を行なっていきます。
リファラル営業は、端的にお伝えすると代理店の仕組みになります。
具体例を上げると、保険や携帯などの有形商材、ホームページ制作やSEO対策などの無形商材をその企業に代わり代行して販売している企業や個人になります。
これらの代理店には、一般的にアポイント獲得から商談、クロージング、アフターフォローなどの一連の営業プロセス全てを代理して行うものとなっております。
ただ、リファラル営業に関しては、リード・アポイント獲得がゴールとなっているため、その後の営業活動は大本である企業が担当します。
上記のようなプロセスで営業活動を行い、アポイント・リード獲得した際に企業へ紹介をします。そして紹介した時点でリファラル営業活動は終了となります。
そのため、その後の商談が成功したかどうかは報酬発生の条件になりませんので、大元の企業はその分の報酬を支払う仕組みとなっております。
リファラル営業の活用するケース(発注者・紹介者別)
リファラル営業は、今までお伝えしてきた通り依頼する企業である発注者と、企業を紹介する紹介者、紹介される企業の3種類の企業・個人が存在します。
今回は、発注者と紹介者別にリファラル営業を活用するケースについて解説を行います。
発注者がリファラル営業を活用するケース|紹介を依頼する企業
紹介を依頼する企業としては、主に以下の3つの活用ケースがあります。
- 人材不足のケース
- 営業に対するコストがかけられないケース
- ある程度確度の高いリード獲得をしたいケース
それぞれについて解説を行なっていきます。
人材不足のケース
まず、よく活用されているケースとして、人材不足があります。
メリットでもお伝えをさせていただきましたが、リファラル営業を活用することにより、少人数の営業組織であっても効率的な営業活動を行うことが可能になるからです。
人材不足の場合の対処法として、「人材の採用」や「広告運用」、「営業代行の活用」等の手段を取ることにより、解決できる場合があります。
この3つの対処法を行うためには、ある程度のコストが必要になり、実際に成果が上がるかもわかりません。
リファラル営業の場合に関しても、成果に繋がるか分からない部分は同じですが、低リスクで始められ、工数も少なくて済むというメリットもありますので、よく活用されています。
営業に対するコストがかけられないケース
人材不足と同じように、コストをかけられない、予算がない企業でもよく活用されております。
理由としても、成果に対してのみ報酬を支払うから、リスクを抑えて営業活動を行うことが可能です。営業自体100%受注できるわけではありませんので、その成果に対する報酬が許容できるかどうかが活用するかという判断の基準になります。
同じように、成果報酬型の営業代行を思い浮かべるかと思いますが、成果報酬型に関しては商材の難易度によって請け負うかどうかが判断されます。
反対に、リファラル営業の場合は、その商材に興味関心のある企業を直に紹介してもらえますので、活用しやすいです。
ある程度確度の高いリード獲得をしたいケース
リファラル営業の場合、共通の知人が紹介してくれるため、依頼した企業に対しての警戒心は通常より薄いです。
そのため、受注などにつながる場合も多いでしょう。
デメリットでもお伝えしましたが、ある程度の条件を設定しておくことで、フィルターをかけることも可能なので、上手く運用すれば確度の高いリード獲得を工数や費用を多くかけずに行うことができます。
紹介者がリファラル営業を活用するケース|紹介する企業・個人
次に紹介者がリファラル営業を活用するケースについて解説を行なっていきます。
主に以下の3つのケースが多いです。
- 課題解決をしたいケース
- 自社商材を販売したいケース
それぞれについて解説を行います。
課題解決をしたいケース
まず初めに、顧客の課題を解決したい場合に利用されるケースが多いです。
ここでいう顧客とは、紹介を求めている企業ではなく、相手に紹介をする企業となります。
営業活動において課題解決というプロセスはもっとも重要な要素となりますが、その課題が自社の事業内容では解決できない場合、知人や取引先の企業を紹介するというケースです。
こうすることにより、顧客の課題を解決することと、知人や取引先の企業からしても喜ばれますので、良い関係を築くことにつながります。
自社商材を販売したいケース
こちらも、当たり前のことに聞こえますが、自社の商材を販売するためのフックとして紹介をするケースもあります。
例えば、人材紹介会社の営業であれば、「人材を紹介します」という営業より、違う切り口としてWEBマーケティングの無料診断のような簡単にできる企業を紹介します。
その際は、急に紹介するのではなく、人材不足の解消をWEBでできる可能性があります…というような形で紹介するため、WEBマーケティングの契約につながらなかったとしても、課題解決をしてくれた企業として信頼をされることが重要です。
そこから、人材紹介であればやっているので…と営業をすることで相手もすんなり聞いてくれるというわけです。
リファラル営業成功のポイント
それでは、最後にリファラル営業を成功させるためのポイントについて解説を行なっていきます。
獲得したいリードの条件設定をしておく
まずは、デメリットでもお伝えしましたが、獲得したいリードの条件を設定しておきましょう。
紹介をする企業や個人は、成約になったかどうかは全く見ていないため、事前に獲得したいリードの条件を設定しておく必要があります。
そのため、自社で獲得している既存顧客やターゲットとなる顧客について詳しく確認をしていき、事前に設定をしてからリファラル営業を活用しましょう。
リファラル営業の担当者と信頼関係を構築する
次に、確度の高いリードを獲得していくためには、リファラル営業の担当者と信頼関係を構築していく必要があります。
少しでも、紹介することに対して良い印象を持ってもらうことで、優先的に紹介をしてくれたり、確度の高いリードを獲得できたりが可能となります。
その他のリード獲得施策と並行して行う
リファラル営業は、成約はもちろん、紹介してもらえるかどうかも保証がないものとなります。
そのため、リファラル営業のみを行なっている場合、全くリードが獲得できず売上が上がらないという最悪の事態に陥る可能性もありますので、その他のリード獲得施策と並行して行うことをお勧めします。
一般的なテレアポや訪問営業でもいいですし、WEBマーケティングや広告運用でも良いので、自社にあった施策で行なっていきましょう。
最後に
今回はリファラル営業について解説を行なっていきました。
少人数の組織でも効率よく営業活動ができ、大きな成果に繋がる可能性のある手法となりますが、反対にコントロールできないというデメリットも存在します。
そのコントロールできない部分をどれだけ少なくできるか、という一点にかかってくるかと思いますので、今回の記事を参考に導入していただければと思います。