営業マンにとって、大きな商売道具である営業資料。
今までも、商談や打ち合わせの場で、顧客に見せ案内をすることが多かったかと思いますが、昨今のコロナ禍ではZOOM等を使ったWEB会議システムを利用する商談が増え、より一層営業資料の重要性が上がりました。
ただ、自由度の高さゆえ、「どのような構成にすべきか」、「何を入れればいいのか」、「どういうデザインにすべきか」等不明点や悩みを抱いている営業マンも多いかと思います。
その為、今回は営業資料の重要性・準備・作成や改善時の3つのポイントと39のチェックリストをお伝えしますので、ぜひご自身の営業資料と見比べてみて、改善していただければと思います。
営業資料の重要性とは
「百聞は一見にしかず」という言葉通り、営業マンの言葉より営業資料を一回見せた方が顧客にはイメージがしやすく、さらに記憶に残りやすいです。もちろん、営業マンのトークがよければ更に成約率等に影響を及ぼしますが、営業資料を見せるのと見せないのとでは、成果に大きく関わってきます。
ただ、営業が苦手な人や、なかなか成果が出ていない人は、一度営業資料を見直してみましょう。
重要である理由①:営業相手に何度も見られる
BtoB営業の場合、その場で決まらないことや、商談時に決済者と会えないケースも多いです。その場合は、社内で稟議に出したり、社内検討をされたりすると思いますが、その際確認されるものが、営業資料になります。担当者から決済者へ商材の説明をする際にも営業資料を使い行われます。
営業マンの手にあるうちは営業資料は武器ですが、手から離れ顧客の手に渡った場合、「営業マンの代わり」になり営業してくれるということです。
その為、営業資料の作り込みが、成果に関わる重要な資料だとわかります。
重要である理由②:属人化せず営業効率をあげる
営業職は、特性上属人化しやすい職種です。営業力やスキル等はいくらナレッジやノウハウを共有したとしても、習得に個人差が出ます。更に、言語化できない要因もありますので、そもそも共有できない再現性の低いものもあります。
ただ、営業資料はもちろん「資料」になりますので、高クオリティの資料を共有することにより、全体のクオリティを保つことができます。
前述で言ったように営業マンの言葉より資料を見せた方が顧客にとってはわかりやすく、逆をいうと出来のいい営業資料があれば、営業力に頼らない営業が可能になります。
営業資料の改善を行うだけで、会社全体で営業力をあげることに繋がってきます。
営業資料作成の準備
営業資料を作成する前に、準備を行う必要があります。
準備なしに営業資料を作ると、何を伝えたいのかが分からない資料になったり、構成がバラバラで見ていてつまらない資料になったりとします。
その為、最低限の準備を4つお伝えします。
誰が利用するかのイメージを明確化
営業資料の重要性でも伝えた通り、営業資料は営業マンだけでなく、社外の人が利用するケースも多くあります。その為、営業マンだけがわかる資料ではなく、第三者が見ても理解できる構成や内容の営業資料になっている必要があります。
また、プレゼンスキルが高くない人が利用する場合でも、トークがイメージしやすいように内容を考える必要がある為、使い手によって作り方は様々です。
AIDMAによって内容を考える
顧客によって、興味・関心がどのレベルなのか変わってきます。さらにいうと、興味・関心が低い人にはその顧客にあった資料を、興味・関心が高い人には相応の資料を用意して営業すると成果は段違いに上がります。
その為、今顧客はどの程度の興味・関心か理解するAIDMAというフレームワークを利用して確認してみましょう。
例えば、初めのAやIの顧客には、簡単にみられて興味を持ってもらえるパンフレット等が良いでしょう。
Dの顧客には、実際に導入した際や、商材の利用シーン等を盛り込みポジティブな印象を与える営業資料にしましょう。
Mの顧客には、その顧客に合わせた事例の紹介等を入れた個別の営業資料を用意しましょう。他社の商材ではなく、これが欲しいと思わせる必要があります。
読み手を意識して作成する
営業資料を使う際は、必ず読み手がいます。その読み手を意識した作りにすることはとても重要です。
読み手の属性(役職や性格、年齢等)で、構成や情報量、言葉等を変えることで、その人にあった営業資料を作ることができます。
例えば、読み手が早く結論を知りたいタイプには、営業資料の序盤で結論を置く構成にしたり、リスクについてよく考える人には、商材のデメリットを記載し、更にそのデメリットはこのメリットによって解消できるという流れで構成したりとやり方は様々あります。
読み手にとってわかりやすく、丁寧な作りになるように、細かいところまで注意して作成しましょう。
営業資料を見るシチュエーションを考慮する
営業資料が見られるシチュエーションによって、内容やテイストを変更する必要があります。
例えば、顧客に渡す配布資料の場合は、フォントサイズを小さくし、資料自体の情報量をあげたり、会議室でプロジェクターをつかって営業資料を見せる際は、フォントは大きくビジュアルメインで構成したりと変更する必要があります。
シチュエーションを想定して、作成をしていくようにしましょう。
営業資料の作成や改善時の3つのポイント
もちろんですが、顧客は営業資料を読みたいわけではありません。
その為、できる限り顧客に対してストレスなく理解できる営業資料にする必要があります。
以下3つのポイントを意識して作成や改善を行いましょう。
簡潔に記載する
簡潔さはとても重要です。長々と説明を書いてある資料がありますが、そういう資料に対してストレスを感じてしまいます。
説明でも商品の概要でも、全てに対して簡潔に記載するようにします。
数字を多く盛り込む
数字は信憑性が増す為、資料には必ず盛り込んでいきましょう。
人は、「利用者が多く、皆様に満足してもらっています」と言われるより、「利用者数1万人を突破し、95%の方からリピートされています」と言われた方が信憑性は増し、凄い商品だと感じます。
疑問や不安点を記載する
顧客は購入するにあたり、必ず疑問点や不安点がでてきます。
その点を資料でしっかり記載し解消までしていると、信頼されやすくなります。事例等を交えながら説明するとより良いでしょう。
営業資料のチェックリスト39選
これより、具体的に改善や作成をすることができるチェックリストをお伝えしていきます。
表紙
表紙は、顧客が一番初めに目にする箇所ですので、第一印象を意識して作成をします。
チェックリスト
- 簡潔で何の資料か分かる資料タイトル
- 解決できる事を端的に記載する 例:「コストカットを実現」
- 会社や商品・サービスをイメージできるデザイン・ビジュアル
- WEBサイト・LP等と、カラーやデザインを合わせる
商材の要約
商品やサービスについて要約を記載し紹介するページですが、シンプルに分かりやすい設計にするよう心がけましょう。
チェックリスト
- 初めて見る方向けに、どのようなサービスなのか、どのような人に向けたサービスなのかを端的に記載する
- 専門用語やわかりにくい英語、抽象的な表現は避ける
- 画像を使い、サービスのイメージをさせる
ターゲットのよくある課題
ターゲット層のよくある課題を記載しましょう。
このページにより、顧客は主体的に商品・サービスを見ることができる為、どのような課題なのか、具体的に記載します。
チェックリスト
- 商材によって解決できる課題を具体的に記載する
- 失敗したストーリをイメージしやすくする(誰が・どのような状況下で・どのような課題を抱えているかを記載する)
- 自社のトップ営業マンが現場で使っている営業トークと合わせるとより効果的
商品・サービスの紹介
課題に対して、自社の商品・サービスを使うことにより解決できる内容やどのような効果が見込めるのかを記載します。
チェックリスト
- 課題解決できることを具体的に記載する
- もちろん商品やサービスの内容も具体的に説明する
- 見出しは簡潔に記載する(読み流された際にも理解しやすいように)
導入後のメリットについて
紹介ページの解決した内容(数値)等を具体的に解説します。
ここでは、文字ではなく「売り上げ拡大」や「コスト削減」等の数値ベースで記載をし、グラフや図を使って解説するとわかりやすいです。
チェックリスト
- 導入後のメリットをグラフ等で可視化する
- ある程度の目安を記載する(いくら削減できる、どのくらい作業効率がアップする等)
- 事例の中で、効果が高いものを記載する
- 費用対効果まで記載できると効果的
選ばれている理由
商品やサービスの信頼性・信憑性をアップさせる為に、具体的な理由を記載していきます。様々な理由があると思いますが、営業資料を見せる相手によって内容は変えていきましょう。
チェックリスト
- 他社と比べて自社の優位性を記載する
- 顧客にとってのメリットも記載する
- 会社や営業マンが考えるメリットではなく、既存顧客からヒアリングをして、実際に選ばれた理由を記載する
事例
導入した企業の詳細情報と、導入前と後の違いを具体的に記載し、信頼度を上げていきます。1つではなく、いくつか種類を用意しており、商談相手によって変えると効果的です。
チェックリスト
- 信頼度が上がる企業や業種などが近い企業の事例を3個以上は用意する
- 導入前と後で、しっかり比較できるように詳細を記載する(出来る限り数字を記載する)
- 数字が出ないものに関しては、担当者の声を記載する
- 導入した際、どのようなことをしたのか詳細を記載する
- 写真やグラフを使う(写真はイメージではなく実際の写真)
導入企業一覧
具体的事例で紹介した企業も含めて、導入している企業を一覧で表示させる。
その際、企業名を並べるだけでは見えにくい為、業種や企業の規模、導入した理由等で分類し記載するとわかりやすいです。
チェックリスト
- 一覧を記載し、分類分けをする
料金プラン
サービスを利用することでかかる費用をプラン別で記載します。松竹梅のプランがあった場合、竹のプランを「おすすめ」とすることで、松梅の金額が与える抵抗感を抑えることができます。
チェックリスト
- プラン内容と金額がわかりやすいように横に併記する
- 別途発生する費用もしっかり記載する
- 竹のプランに「おすすめ」表記をする
- 決済方法も記載すると検討材料となる
利用時の流れ
お問い合わせ・相談から実際にサービスを利用できるまでの流れを、段階ごと区切り説明をしましょう。顧客が流れをイメージできるようにわかりやすく記載します。
期間がかかる場合は、その期間を記載したり、金額発生のタイミングを記載したりすると想像しやすいです。
チェックリスト
- 納期や金額の発生時期等詳細まで記載する
- 利用開始してから、実際に運用していく際にかかる工数等も記載する
Q&A
商談中や営業活動の中で実際に聞かれる内容を洗い出し、Q&A方式で記載します。商談先によって変わる為、多めに用意しておきましょう。
ネガティブな内容については、言い回しを工夫して回答します。
チェックリスト
- 抽象的な質問より、具体的な不明点を解決できるように記載する
- 検討のフェーズごとに列挙する(検討段階や契約時、利用している際等)
- Q&Aは一回作って終わりではなく、随時更新をする
会社概要
会社概要もしっかり記載します。
企業ブランディングにも関わりますので、記載できる内容を詳細に書いておきましょう。
チェックリスト
- 企業の詳細情報・事業内容や理念などを記載する
- 信頼に繋がる内容であればその他情報(資本金や従業員数等)も記載する
- 会社のイメージがしやすい写真を載せると尚よし
メディア掲載歴等
情報誌や専門誌に載った実績や、受賞歴、イベント等の登壇歴があれば合わせて記載します。
チェックリスト
- ブランディングに繋がる実績を記載する
最後に
今回は、営業資料について詳細をお伝えしてきました。
実際に、営業資料はきちんとした内容で作成や改善することにより、すぐに効果を発揮でき、営業スキルがなくても成果を出すことができる武器になります。
だからといって、営業力を蔑ろにして良いということではありませんが、それほど強力な武器となってくれるでしょう。
今回のチェックリストを見て、自身の営業資料でできていない箇所があれば改善し、作っていないのであれば、作成して営業活動を効率的に行なっていきましょう。