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効果的な他社比較表を作成するポイントについて解説!

営業活動を行っている上で大きな課題はいくつかありますが、その一つが競合他社に顧客を取られてしまう・流れてしまうことです。

提案した際の感触が良かったものの、気がついたら他社で契約していたなどの悔しい経験のある営業マンも多いでしょう。
顧客へ提案をしていたものの、競合他社へ流れてしまうことを「コンペ流れ(負け)」と呼びます。

コンペ流れを防ぐための対策として、営業力の強化やヒアリングの徹底などがあると思いますが、その中でも取り組みやすい手段として「他社比較表の活用」があります。他社比較表をうまく活用することにより、自社を選択する理由やメリットについてわかりやすく伝えることができます。

さらに、他社比較表は顧客に対してだけでなく自社に対しても課題や弱みの発見に有効です。

今回は、そのような他社比較表について重要性や概要、作成の方法など詳細にお伝えしていきますので、ぜひご参考にしていただければと思います。

他社比較表とは?

他社比較表とは?

他社比較表とは、自社の商品・サービスと他社の類似商材を、顧客の検討・比較のポイントを並べた表になります。
下記は自社のサービスを比較した表になりますが、下記のように他社比較表に関しても自社の商材と他社の商材の違いや特徴について記載していきます。

他社比較表の例

他社比較表を作成して提案時に活用することにより、顧客の判断材料として役立ちます。顧客からすると、自分たちで調べて比較表を作成する手間が省け、重要なポイントについてもひと目で確認することができます。さらに、自社にとっても他社商材を改めて把握・分析することに繋がりますので、自社商材の優位性や弱みについても再確認することができます。

ただ、作成に対しての主な軸となる2つの要素があります。
まずひとつめは、他社比較表に記載する企業の選定です。そしてもう一つに関しては、比較する項目をどうするかです。
どちらも後ほど詳細を解説しますが、ここでは比較項目について少し触れます。先程、顧客の検討・比較のポイントを並べた表とお伝えしましたが、詳しく伝えると「KBF」(購買決定要因)」を項目として設定していきます。

KBF(購買決定要因)とは、顧客が商品・サービスの購入をするにあたり、重要視するポイントになります。たとえば、パソコンを購入する場合、「デスクトップかノートパソコン」、「スペック」、「価格」などがKBFとなります。

上記の画像を例に上げると、問い合わせフォーム営業の比較表になるのですが、KBFが価格であれば「Trialプラン」でしょうし、送信数であれば「Standardプラン」か「Premiumプラン」で、手間を考えるのであれば「Premiumプラン」になります。
このように、顧客によってKBF(購買決定要因)は変わりますが、顧客自身がそれぞれの項目のウェイトを考え判断を下していきます。

他社比較表が必要な理由

他社比較表が必要な理由

顧客へ営業を行う際に、他社ではなく自社商材を選んだほうがよい理由やメリットを伝えるかと思いますが、その際に他社比較表を活用することにより視覚的に訴求することができ、伝わりやすくなります。
一方で、顧客目線で考えた場合、自社のKBF(購買決定要因)にあった商品・サービスや最適な商材を素早く合理的に選択するために役に立ちます。

また自社という観点から見ると、他社比較表はマーケティング戦略を明確にする際に必要となります。
マーケティング戦略とは、一般的な意味でお伝えすると「“誰に”、“どのような価値を”、“どうやって提供するか”を決める取り組み」のことです。

マーケティング戦略は、ビジネスモデルなどによって大きく変わりますが、ここでは代表例をお伝えします。
まず、行うべきことはSTP分析です。STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字をとった、市場環境や商品・サービスの特性等を分析し売り上げ向上を行うためのマーケティングフレームワークになります。
このSTP分析を行い、自社のセグメント・ターゲット選定や市場でのポジショニングを決定していきます。

その後、基本的なマーケティング活動を行っていきつつ、顧客に購買活動を行ってもらうため4P分析やSWOT分析を行います。
4P分析とは、「Product|製品・サービス」「Price|料金・価格」「Place|流通」「Promotion|プロモーション」を自社と競合他社で比較していき、営業・販売を行なっていく際の詳細を決めていくフレームワークで、SWOT分析とは、「Strength|強み」、「Weakness|弱み」、「Opportunity|機会」、「Threat|脅威」の関係性を分析していくフレームワークになります。

これらの分析を行うことにより、自社商材の優位性や他社との違い、反対に自社商材の弱みなどを発見することができます。

他社比較表に関して言えば、4P分析が良いでしょう。
4P分析を行い決定した内容は顧客のKBF(購買決定要因)となりますので、マーケティング戦略を立案する際に他社比較表は作成することができるのです。

これらのマーケティング戦略をしっかり行い、組み立てていくことにより、他社比較表は顧客が自社商材を選択する理由になりえます。
そうなりますと、営業マンは顧客に伝えやすいですし、顧客も選択がしやすいため他社比較表は必要な資料と言えるでしょう。

他社比較表の具体的な活用シーン

他社比較表の具体的な活用シーン

では、続いて他社比較表の具体的な活用シーンについて紹介していきます。

商談・提案時

他社比較表がもっとも活用されルシーンは、ご想像の通り商談・提案時になります。
他社比較表を使わなくても提案をすることは可能ですが、昨今ではどの業界・業種でも競合が増えてきており、BtoBの場合は特に相見積もりをする企業が多くなっております。

そのため、すべての顧客が他社へ見積もりを取るという考えのもと先出しをすることにより、自社のアピールを効果的に行うことができるのです。顧客としても、企業ごとに違いや特徴、自社にとってのメリットを調べていくのは手間になりますので、喜ばれます。

あとは、営業活動はいかに顧客の抱える課題やニーズを引き出し、そのソリューションを提案できるかが重要です。
例えば、顧客が営業活動に対して上手く行っておらず、営業代行を探しているとします。ただ、営業代行企業を探している企業のKBF(購買決定要因)は「コスト」や「営業手法」、「活動内容」、「活動範囲」など様々あります。
そのKBF (購買決定要因)は予め想定できますので、その項目を作っておくと良いでしょう。コストを重視しているのであれば、他社比較表のコストについて触れ、活動内容を重要視している企業には他社との優位性について触れて、効果的な提案をすることができます。

確かに、他社と比べて価格が高いなどのケースも想定されますが、そこは他の項目でカバーできる部分になりますので、汎用性はとても高く使い勝手が良いですし、それぞれの顧客に合わせた資料を用意しなくても済みますので、ぜひ利用しましょう。

比較検討段階で自社の価値を提示する

BtoBの場合、殆どの場合比較検討を行います。大企業の場合はコンペをして選定しなければならないという決まりがあるほどです。
そのような自社の商材を検討している企業に対して、他社比較表を活用します。他社比較表を用いる事により、顧客が本来情報収集をしなければならない工数を削減することができ、自社の価値を提示することができます。

さらに、メリットや優位性をアピールするだけでなく、他社商材との違いを伝えたり、自社商材で解決できる課題について明記したりすることも可能です。

他社比較表の作成方法

他社比較表の作成方法

続いて他社比較表を作成する方法について解説を行っていきます。

競合他社の明確化

まず、他社比較表を作成する前に、競合他社を明確化していきましょう。
具体的には、比較する対象となる企業をリスト化していきます。

比較対象になる競合他社をリスト化していく方法としては、営業を行っている際に顧客から聞いた事がある企業や、5F分析などのフレームワークを活用する方法、インターネットで検索して探す方法など様々あります。

そして、調べて行く際には全く同ジャンルの競合他社だけでなく、間接的な企業も調べていきましょう。例えば、営業代行のサービスの競合他社を調べているのであれば、同じ営業代行サービスを行っている企業だけでなく、問い合わせフォーム営業の企業やWEBマーケティングでのリード獲得代行など間接的な企業も競合他社になります。

今回は、5F分析というフレームワークについてお伝えします。

5F分析

5F分析(ファイブフォース分析)とは、競合他社や市場・業界全体の状況・収益の構造を明確にしていき、その上で自社の売上や利益の上げやすさについて分析を行うフレームワークになります。

5F分析では以下の5つの脅威について分析を行います。

  • 業界内の競争(競合他社)
  • 対象業界への新規参入者
  • 代替品
  • 買い手の交渉力(顧客)
  • 売り手の交渉力(サプライヤー)

上記はすべて自社のビジネスを取り巻く外部の驚異となっており、売上・収益にとても大きな影響を与えるものとなります。
5F分析は前提条件として「競争が激化すれば収益性は減少し、反対に競争が限定的なものであれば収益性は上昇する」という至極全うな理論を掲げております。

そのため、これらの驚異を分析するにあたり、売上や収益を左右する要因を理解して掘り下げていき、「どのように行えば売上・収益を担保できるのか」などの結論を探していくためのフレームワークといえます。

競合他社の分析

競合他社を明確化してリスト化しましたら、次に競合他社の商材を詳しく分析していきます。

分析する項目は、他社比較表で記載する項目です。
ただ、現段階では競合他社をリスト化しただけで、顧客のことも他社のことも全く知らない状態になるので、顧客のKBF(購買決定要因)が曖昧な状態でしょう。

具体的な例としては、業界最安値を武器に市場のシェアを獲得できると想定していたものの、実際に行ってみると自社より高い他社の商材のほうがより多くのシェアを獲得しているケースがあります。その要因としては、その競合が大手で信頼感や安心感の面でアドバンテージがあるという理由も考えられますが、アフターフォローやサポートなどの面で上回っている可能性も大いにあるでしょう。

上記の例のように、しっかりと分析を行わなければ、顧客に寄り添った他社比較表を作成することができない可能性があります。

この競合他社の分析で活用できるフレームワークはいくつかありますが、その代表例が3C分析になります。

3C分析

3C分析とは、Company(自社)・Customer(顧客)・Competitor(競合)の3つの関係性や状況から現状を分析していくフレームワークです。

Company|自社

Companyでは、自社の優位性について分析していきます。

例えば、売上高や営業実績、シェア率、商材の強み等、現状持っている武器を洗い出し、優位性を検証していきます。

Customer|顧客

Customerでは、顧客の分類やセグメントをしていき、自社に適したターゲット層を確立していきます。例えば、顧客の属性や性別、業種等、現状保有している既存顧客から割り出し、ターゲティングに活用します。

Competitor|競合

Competitorでは、自社における競合他社の分析を行なっていきます。

主に、競合の会社の売上高や、営業利益、マーケティング施策、管理方法、フォロー体制等、情報をかき集め、自社との違いを明確にしていきます。

その他の営業戦略については下記の記事で紹介しておりますので、合わせてご確認ください。

他社比較表に記載する項目の選定

上記のようなフレームワークを活用し競合他社の分析を行いましたら、顧客のKBF(購買決定要因)をある程度把握できるようになります。

その項目は、SWOT分析や3C分析で分析をした自社の優位性や弱みを踏まえ、4P分析などでマーケティング戦略を立てた要素を入れましょう。4P分析であれば、価格や商品の内容などです。

そして、他社比較表では自社のデメリットとなり得る項目を除外したくなりますが、それは逆効果となる可能性が高いです。他社比較表は、自社のアピールをするためでもありますが、顧客にとって有益な比較表を提示することが前提としてあるからです。
それだけでなく、デメリットを記載していないと、不信感を抱いてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

各項目の内容を記載する

記載する項目の選定ができましたら、各項目の内容を記載していきます。
他社比較表では、前述でもお伝えしたとおり、自社のメリットになる項目ばかりではなく、デメリットとなる項目も記載をしていきます。

その際に、文字の色を変えたり、◎・△などの記号を入れたりすると直感的に伝えることができますので、取り入れてみましょう。

そして、デメリットになる項目については、他社比較表とは別に資料を用意しておくと成果に繋がりやすいです。例えば、営業代行サービスの比較表で、価格は他社より高いものの、サービス面が充実しているため自社のほうが、費用対効果が高い等と伝えることもできるでしょう。

最後に

今回は、他社比較表について解説を行ってきました。
他社比較表は、顧客の購買決定を促したり、コンペ流れを防いだりすることに繋がる有効的な資料と言えます。

ただ、何となくで作成しても成果に繋がりません。
しっかりと競合他社や市場を把握し、分析を行い、最適な他社比較表を作成する必要があるのです。

まだ、作成していない企業や今まで有効的に活用できていなかった企業は、これを機に効果的な他社比較表を作成していきましょう。

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