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営業生産性を向上させる方法|注目されている理由から向上させる方法について解説

昨今は今まで以上に人材不足の問題が大きくなっており、営業活動にもその影響が出てきております。
そのため、「営業生産性」がとても重要となり、全ての企業で営業生産性を向上させる取り組みが必須となってきております。

これまでの営業活動は、足を使って多くの企業にアプローチをすることが当たり前でしたが、これからは頭を使って少ない労力で成果を出す方法が求められるようになっております。

そのため、今回は「営業生産性」について、重要な理由や向上させる方法について解説を行なっていきます。

営業生産性とは

営業生産性とは

営業生産性とは、営業活動で費やす労力や時間、費用に対して、どのくらい成果や業績を上げることができたかを表すものです。主に、指標として活用されます。

実際、日本国内すべての生産性は良いとは言えません。
公益財団法人 日本生産性本部が毎年出している「労働生産性の国際比較」の2021年の発表では、日本の労働生産性は49.5ドル(5,086円)/購買力平価換算となっており、OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中23位となっておりました。米国では80.5ドル(8,282円)となっており、日本は米国の6割程度しか労働生産性がないという結果です。
(参考:労働生産性の国際比較2021|公益財団法人日本生産性本部

労働生産性の国際比較2021-労働生産性の国際比較2021
引用:労働生産性の国際比較2021-労働生産性の国際比較2021

上記は、労働にフォーカスした生産性となりますが、今回お伝えするものは営業生産性です。
できる限り労力や時間、費用をかけずに、多くの成果や業績を上げると営業生産性を向上させることができます。

営業生産性の計算

営業生産性は以下の計算式で求めることができます。

営業生産性の計算式

営業生産性 = 成果・業績 ÷ 営業の労力・時間・費用

例)
営業マン:5名
年間売上高:50,000,000円
年間労働時間:10,560時間(1ヶ月22日×1日8時間×5名)
営業生産性:4,735円(50,000,000円÷10,560時間)

冒頭でもお伝えした通り、これまでの営業ではアプローチ数を増やすことが良いとされてきましたが、なぜここまで重要視されるようになったのでしょうか。
その営業生産性の重要とされる理由について解説を行います。

営業生産性が重要な理由

営業生産性が重要な理由

営業生産性を含めた、生産性が重要視された理由は「働き方改革」が大きく影響をしております。
働き方改革は、安倍晋三元首相が掲げた「一億総活躍社会」を実現するために内閣府が主導となっておこなっている取り組みになります。
働き方改革では、長時間の労働時間の改善や、介護・子育てと仕事の両立等、生産を高めて労働の改善を図ろうとする取り組みです。

というのも、日本は世界各国と比べても労働時間が長く、長時間労働の改善を行うために、有給休暇の取得を義務化にしたり、残業の見直しを行なったりとさまざまな取り組みを行なっております。
ただ、その労働時間を改善したことによって、業績が下がってしまうことは避けなければならないため、短時間の労働でも業績や成果を上げることができるように、生産性が重要視されはじめたということです。

営業生産性が落ちる原因

営業生産性が落ちる原因

それでは、営業生産性が落ちる原因について解説を行なっていきます。

ゴールが曖昧な行動

営業生産性を上げるということは、前述したようにできる限り少ない労力や時間・コストでよりよい成果や業績を上げることに直結しますが、ゴールが曖昧な状態で営業を行うと営業生産性は落ちてしまいます。
例えば、「なんとなくアポイント取りをしている」や「よく相手のことを調べずに営業している」等が挙げられるでしょう。そのような活動ですと、成果や業績に繋がらず営業生産性が落ちてしまいます。

何となく会議やミーティングを行なっている

目的も持たず何となく行なっている・参加している会議やミーティングは時間の無駄となってしまい営業生産性が落ちてしまいます。
時間だけが過ぎていき、何か学べるわけでも、アウトプットできるわけでもありませんので、そのような会議やミーティングはすぐさま止めましょう。

仕事の隙間を活用できていない

営業マンの仕事は、アポイント取りや商談だけではありません。
その他にも、顧客への対応や提案資料の作成等があります。ただ、商談と商談の合間をうまく活用できておらず、効率が悪い活動を行なっている営業マンも多いです。

少ない時間でも、何かしらできることはあるかと思いますので、タスクを整理してやるべきことを探していきましょう。

行動や営業の管理が出来てない

営業生産性を高めるためには、行動管理や営業管理が必ず必要となります。
行動管理であれば、資料作成にかかる時間ややるべきタスクの優先順位等で、営業管理は自分の営業活動における数値(受注率やアポイント獲得率等)をしっかりと分析して業績を向上させることです。

それらを行なっていなければ、指標もなく営業活動を行うことになり、不安定な業績となってしまいます。

資料やパソコンの管理が出来ていない

よく見かける営業マンの特徴が、机や棚の中を整理していなかったり、パソコンのデスクトップが整理されていなかったりする営業マンです。
整理されていない中から、特定の資料やデータを探すことは困難になり、時間の無駄につながってしまいます。もし、片付いていないのであれば、整理するところから行なってみましょう。

営業生産性を高める方法3選

営業生産性を高める方法3選

それでは、これからは実際に営業生産性を高めるための3つの方法について解説を行なっていきます。

営業活動以外のその他の業務の効率化

営業活動以外のその他の業務の効率化

営業マンの仕事内容は、営業活動とその他の業務の2つに分けることができます。
営業活動はその名の通り、商談やアポイント獲得のための活動になっており、その他の業務は資料作成やミーティング、データの入力作業等が当てはまります。

営業生産性を高めていくには、できる限り時間や労力を削減・効率化して、より多くの業績を上げていくことが求められます。そのために営業活動の時間を削ることはできませんので、その他の業務を短時間でできるように効率化していく必要があります。

Quotableが調査した「ある営業マンの1日」のデータでは、その他の時間に費やしている割合は、全体の64%を占めているようです。営業マンの労働時間全体の半分以上はデータ入力やカレンダーの処理などとなっているのです。

営業担当者の平均的な時間の使い方|Salesforce
引用:セールス最新事情-Salesforce

さらに、全世界の3,100人以上の営業リーダーへ調査をした結果、パフォーマンスを発揮できていない営業チームの原因は、「事務作業が多すぎる(営業活動に十分な時間を割けない)」と答えた割合が45%と、約半数が思っている意見となりました。
(参考:先進事例に学ぶ!成果をあげる営業マンの時間の使い方とは?

非効率な社内プロセスが営業の足かせとなる理由|Salesforce
引用:セールス最新事情-Salesforce

上記の調査結果から見ても、営業マンがその他の業務に費やしている時間が多く、重要な営業活動が出来ていない・時間が割けない状況であると考えられます。
ただ、反対にその他の業務を効率的に短時間で終わらせることができるのであれば、営業活動に時間を費やすことができるということです。

業務内容の見直し方法

ではどのようにすれば効率的に行えるかを確認していきます。
その他の業務は、主に3つに分類することができます。
継続して行うべき業務」、「効率化して行うべき業務」、「やらない方が良い業務」の3つです。

これらは、2つの軸によってどの項目に分類されるかを考えていきましょう。
軸は「時間がかかるか」、「業務によって業績に影響するか」です。
その他の業務を一つずつリストにしていき、「時間がかかるか」、「業務によって業績に影響するか」の当てはまり方をチェックしていきましょう。

  • 継続して行うべき業務…時間はかかないものの、業績に影響する業務
  • 改善して行うべき業務…時間がかかり、業績にも影響する業務
  • やらない方が良い業務…時間がかかり、業績に影響しない業務

例えば、営業トークを構成している「トークスクリプトの作成・見直し」という業務があるとすれば、時間はかからないものの業績に大きく影響する業務となり「継続して行うべき業務」と分類できます。

他には、営業活動の詳細をデータ入力して報告する業務に関しては、時間がかかるが業績に影響するものとなり、「改善して行うべき業務」となります。
改善をすることにより、かかる時間を削減できれば継続して行うべき業務ですよね。

最後の「やらない方が良い業務」に関しては、時間がかかり業績にも影響しないものとなっており、例えば毎日の会議や詳細な日報などになります。
営業マンとしても時間がかかるため、何となく行なっている業務がこれに当てはまっており、業績にも影響せず営業生産性を落としかねないものになるため、やらない方が良いでしょう。

業績を上げる取り組み

業績を上げる取り組み

その他の業務を効率化して、営業活動に費やす時間が増えた後に行うべきものが、業績を上げる取り組みとなります。

当たり前のように聞こえますが、意外と考えられて行動できていないものとなっております。
例えば、ただアプローチ数を増やす営業活動や、ターゲット層を考えていない営業活動などが当てはまります。
そのように業績を上げる取り組みをしていない営業活動では、時間を浪費してしまい営業生産性を落としてしまいますので、限られた営業活動の時間の中で業績を上げるため工夫をして活動を行なっていくことが重要となります。

業績を上げるための取り組みとしては主に、以下の2つが挙げられます。

  • 精度の高いターゲティング
  • 正確な案件管理

それぞれについて解説を行います。

精度の高いターゲティング

ターゲティングとは、自社の商品・サービスを売り込んでいくターゲット顧客を決めることになります。ターゲティングは、営業活動においてとても重要な要素となっておりますが、経験や過去の実績から軽く決められることが多いです。

例えば、企業が保有している顧客データを絞り込まず一つずつ営業をかけている営業マンが多くいますが、この営業活動はターゲティングを無視した営業となり、アポイント獲得率はもちろん低く、商談に繋がったとしても成果につながる確率も低いでしょう。

そのような結果にならないためにも、ターゲティングをしっかりと行う必要があります。
ターゲティングは元々マーケティング戦略の一つとなっており、そのターゲティングの効果を最大限発揮させるためのフレームワークを一つ紹介いたします。

STP分析

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字をとった、市場環境や商品・サービスの特性等を分析し売り上げ向上を行うためのマーケティングフレームワークになります。

STP分析は、効率的に売り上げ向上をしていくという目的のもと行います。
商品を販売していくにあたり、ターゲット選定や自社の市場でのポジショニングを行い、効率的に売り上げを向上していく為には、STP分析は重要な欠かせない手法になります。

Segmentation(セグメンテーション)について

セグメンテーションは、顧客のニーズ・属性を分析・把握することです。
セグメンテーションはさらに「人口動態変数」、「地理的変数」、「心理的変数」、「行動変数」の4つに分けられます。

Targeting(ターゲティング)について

ターゲティングで、ターゲットのペルソナを設定していきます。
設定方法は、3Cと6Rの視点で行なっていくことが一般的です。

  • 3C…Customer(顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)を分析すること。
  • 6R…Realistic Scale(市場規模)・Rate of Growth(成長性)・Rank/Ripple Effect(優先順位と波及効果)・Reach(到達度)・Rival(競合)・Response(反応)を分析すること。
Positioning(ポジショニング)について

STP分析最後はポジショニングになります。
競合他社と競っていく際、自社の優位性で差別化をし、明確な分かりやすい立ち位置を設定していくことをポジショニングといいます。

上記のように、さまざまな視点やデータを元にターゲティングを設定して営業活動を行うことにより、精度の高いターゲティングを行うことができ、営業生産性を向上させることにも繋がっていきます。

正確な案件管理

次に正確な案件管理もとても重要となります。
案件には、とんとん拍子で進んでいく案件もあれば、まったく進まない案件もあります。

案件管理をしていなければ、まったく進まない案件に対して時間や労力を割いてしまい、時間が足りなくなってしまう可能性もでてきます。
そのため、案件を正確に管理して効率的な営業活動ができるようにしていくことが重要です。

案件管理では、顧客のニーズや課題が商材とマッチしているかを確認していきましょう。
マッチしていない場合、どのようにアプローチしても顧客のためにもなりませんし、受注できない可能性がとても高いので、そのような案件は優先順位を下げるか切り捨てるようにしましょう。

そして、マッチしている顧客に対しては、最適なアプローチの方法を考えていきます。
その中でも、重要かつ自分一人では案件を進める自信がないものに関しては、マネージャーに同行を依頼するなど周囲に協力をしてもらって受注率をあげていくことが良いでしょう。

このように、案件でも優先順位をつけて効率的に活動を行うことがとても重要となります。

営業活動のプロセスを改善する

営業活動のプロセスを改善する

前述までの2つを改善したとしても、営業生産性が向上しないのであれば、営業活動のプロセスを見直して改善が必要になります。

例えば、テレアポにてアポイントを獲得し、商談を訪問して行なっていたとします。
今までは、その流れでうまくいっていたものの、コロナ禍によってテレワークが普及しており、電話が繋がらなかったり、訪問する日時が絞られたりして効率が落ちている状況であれば、アプローチ数を上げて商談数を向上させるというより、営業手法を改善した方が良いでしょう。

上記の例を改善するのであれば、アポイント獲得を問い合わせフォーム営業やメール営業に変更をして、商談をオンライン商談に変更するなどです。
そうすることにより、アプローチ数を増やすことも可能で、移動時間も必要ないため営業活動の効率を高めることにもつながります。

これらの例は、とても簡単にプロセスを分解しておりますが、実際の営業活動はさらに多くのプロセスで構成されているかと思いますので、現状のプロセスを分析してみて業績が悪い部分の改善を行い、PDCAを回しブラッシュアップをしていくことが重要となります。

最後に

今回は、営業生産性について解説を行いました。
営業生産性を向上させるということは、業績を上げるだけでなく、営業活動に費やす時間や費用を削減することにも繋がっており、メリットはとても多いです。

ただ、その分向上させるにはさまざまな変革を行なっていく必要もありますので、今回の記事をご参考にしていただき生産性向上を進めていただければと思います。

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