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営業DX化を成功させるポイントとは?具体的な内容と成功事例を踏まえ解説

前回、営業DXについて解説を行いました。
今回はより詳細な内容である、「営業DXにより実現できる業務体制や具体的な内容」と「営業DX化を成功させるポイント」、「成功事例」をお伝えしていきます。
ぜひご参考にしていただければ幸いです。

営業DXの具体的内容と実現できる業務体制

営業DXの具体的内容と実現できる業務体制

それでは、営業DXにおける具体的な内容とどのような業務体制を実現できるのかについて解説をしていきます。

オンライン商談・面談

営業DXを推進することにより、オンライン商談・面談を行えます。
オンライン商談・面談は、ご存知の通りオンライン上で面談や商談を行う営業スタイルになります。非対面で行えるため移動時間の削減や営業エリアによる縛りがなくなる点が大きいメリットとなります。

電話等で商談を行うこともできるのですが、電話では音声でのみしか対話をすることができず、資料の共有をしながら話をしていくことができないため伝わりにくいです。

そのため、オンラインでの商談や面談を活用することにより、成約率の上昇や遠方の顧客へのアプローチが可能となっており、新たな顧客層の獲得にもつながってきます

オンライン商談についての詳細やメリットデメリットはこちらの記事をチェックしてください。

メールマーケティングの効率化・自動化

営業DXによって、メールマーケティングの効率化・自動化を図ることができます。
様々なツールが出回っておりますが、ツールによってはテンプレートが複数用意されていたりするため、いくつか内容を変えるだけでメールの作成が可能となっており、自動で配信を行うことも可能です。

さらに、従来の定期的かつ全顧客へ同一内容のメールを送るメールマガジンとは違って、顧客のデータを基に最適化されたメールの配信やオファーを送信できるようになっており、顧客とのより一層の関係性構築やロイヤルティーを高める効果が期待できます。

コンテンツの充実化

営業DXでは、アプローチを行う営業面だけでなく、顧客に商品やサービスの露出度を増やし興味や関心を抱いてもらう為のコンテンツ作成にも役立ちます。
今やコンテンツマーケティングと呼ばれるオウンドメディアの運営や各種SNSプラットフォームによるファンの獲得を多くの企業が実施しておりますが、そのような顧客自ら興味・関心を抱いてもらう為のコンテンツ作成は営業活動におけるとても重要な要素の一つとなってきております。

そのためにも、顧客は何を求めているのか、課題やニーズは何かをデータ管理していると顧客にとって価値のあるコンテンツを作成することができ、更なる営業活動の躍進へと繋がってきます。

CRM・SFAの活用

CRMやSFAは耳にする機会も増えており、聞いたことがあるかと思いますが簡単に説明いたします。

CRM(顧客関係管理|Customer Relationship Management)は、顧客の詳細データ(コミュニケーションの内容や購買履歴等)を一元管理し、その情報を基にビジネス展開を行い、LTV(顧客生涯価値)の向上や利益の最大化を目指すマーケティングです。

SFA(営業支援システム|Sales Force Automation)は、企業の営業部における業務プロセスや情報を自動化していき、データ化・分析等を行うシステムのことです。

このCRMやSFAを活用することにより、データの参照や顧客の状況を外出先でも簡単に確認することができたり、情報の共有や戦略立案も容易に行えたりとパフォーマンスを向上させ、営業活動を効率化することが可能となります。

CRMとSFAについてはこちらで詳細を解説しておりますのでぜひチェックしてみてください。

営業DXを成功させる為のポイント3選

営業DXを成功させる為のポイント3選

営業DXについて詳細を解説してきましたが、成功させるためにはいくつかポイントがあります。
今回はそのポイントを3つご紹介いたします。

営業DXを行う目的の明確化

何事にも当てはまることですが、営業DXを行う目的を明確にすることがとても重要になってきます。
理由としては、達成をしたいゴールに合わせて、DX化のツールや行なっていく手段が異なるからです。そのため、達成したいゴールをまず明確化し、逆算をしていくことでゴールへのプロセスを考えていきましょう。

失敗数する可能性が高い目的の例として「業界内でDX化している企業が多くなってきたから」や「オンラインに移行して成功している企業がいるから」という曖昧な目的を掲げる企業もいますが、駄目です。
自社にはどのような課題があるのか、どう改善できるのかを追求していき、その上で「DX化が必要な理由」を明確にできればベストです。

自社に最適のツール選定

今やDX化を行う上で、ツールを使わずに自社でシステムを構築していく企業はとても少ないです。そのため、自社の目的に応じた最適なツールを選定する必要があります。
そして、重要なことは目的だけでなく、現場の意見も聞くことです。
営業活動を行なっている現場では、どのような課題があり、どのような機能があればより良いのかを聞き選定を行いましょう。

そして、ツール導入時は、全てアウトソースするのではなく、活用方法や今後の運用方法について理解できるように導入作業を行うことをお勧めします。
その上で、自社の社員にもレクチャーする必要がありますので、注意しましょう。

DX人材

営業DXにおいて重要となってくる要素が人材になります。
人材不足の解消を目的にDX化を行うのに、矛盾しているかと思われますが、人材といってもDXの専門の人材になります。DX化を行いますと、今まで行なってきた業務の内容と大幅に変更されるため、その運用や活用に対しての疑問や戸惑いが発生するケースが多いです。
そのため、新たに人材を確保しなくても良いですが、自社内の社員である程度精通している人材を選任するか、そのような人材がいなければ育成をしていく必要があります。
そうすることで、DX化におけるトラブルや課題に対して未然に備えることができます。

もし、人材不足等により選任することができない・育成ができないのであれば、アウトソースすることも一つの手となります。

営業DXを支援するツール6選

営業DXを支援するツール6選

営業DXを導入する上で、営業活動やマーケティング活動のDX化をサポートしてくれるツールやシステムを活用することが必要となってきます。
その中でも、代表的といえるツールについて解説を行なっていきます。

オンライン営業ツール

営業DXをするためにとても重要となってくるのが、オンライン営業ツールとなります。
オンライン営業ツールでは、その名の通り非対面で営業活動を行うための、WEB会議システムやオンライン商談ツールを指しております。

オンライン営業ツールは有名なツールがいくつも出ており、WEB会議システムでは、「ZOOM」や「Microsoft Teams」等で、オンライン商談ツールでは「bellface|ベルフェイス」等が挙げられます。

WEB会議システムとオンライン商談ツールは似ているようですが、少し異なっており、WEB会議システムでは音声と動画、共有する資料等すべてをインターネット回線で繋げて会議や商談を行うのに対して、オンライン商談ツールでは営業に特化したツールとなっており、動画と共有資料はインターネット回線・音声は電話回線を用いて使用されます。そのため、インターネット回線が不安定な状況でも繋がりやすいというメリットをもっております。

オンラインセミナーツール

営業DXの導入を行い、営業やマーケティングをオンライン上で行なっていくには、オンラインセミナーを開催するという方法もあります。
オンラインセミナー(ウェビナー)を開催して、リード獲得(リードジェネレーション)、リード育成(リードナーチャリング)、新規案件化という流れで進めていくことで営業活動を大きく前進させることも可能です。

ただ、そのためにはウェビナーを管理するツールが必要となります。
具体的には、ウェビナーの申し込み管理やウェビナー終了後のリードへのフォロー管理等がありますので、自社にあったツールやシステムを導入して活用していきましょう。

営業用・ウェビナーの動画編集ツール

営業DXでは、ホームページ等のテキストや画像ベースでの訴求だけでなく、動画を活用して商品やサービス、ブランドのことを訴求することで、顧客へ伝わりやすく且つ営業マンも説明不要となり効率的に営業を行っていけます。
動画の内容としては、企業ブランドの紹介動画や商品やサービスの紹介動画、具体的な利用シーンの動画、事例やお客様の声をまとめた動画、悩みや課題の解決プロセスの紹介動画、等の様々な動画を用意しておくだけで、リードの需要に合わせた適切な訴求を行うことができます。

あとは、ウェビナーの動画を綺麗に編集して、ウェビナーの復習動画やウェビナーを自動化することも可能ですので、リードナーチャリングだけでなく、リードジェネレーションにも活用できます。

CRM(顧客関係管理)

CRMは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った言葉で、一般的に「顧客関係管理」と呼ばれています。
端的にお伝えすると、顧客の履歴(コミュニケーション・購買履歴等)を一元管理し、そのデータを元にビジネス展開を行い、顧客生涯価値(LTV)の向上や利益の最大化を目指すマネジメントになります。

CRMを活用することにより、顧客の詳細情報をデータ化するだけでなく、個々のコミュニケーション管理やアンケート管理、会員管理等様々な情報を管理・分析することができますので、営業DX化においてとても重要なツールと言えるでしょう。

SFA(営業支援システム)

SFAとは、英語で「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)」の頭文字をとった言葉で、「営業支援システム」と訳されております。
具体的な内容ですと、企業の営業部にある業務プロセスや情報を自動化し、データ化・分析等をすることができるシステムがSFAとなります。

SFAを活用することにより、顧客管理や個々の案件の管理、商談内容の詳細データ管理、営業プロセス管理、売り上げ予測、スケジュールやタスク管理、見積書作成等、営業に特化したデータ管理をすることができます。CRMと似通っている部分がありますが、CRMの中の営業支援に特化したサービスがSFAとなっております。

MA(マーケティングオートメーション)

MAとは、「Marketing Automation」の頭文字を取っており、収益を向上させると言う目的の上、マーケティング活動を自動化させるツールになります。
マーケティングでは、リードを育てていくリードナーチャリングを行う必要があり、そのためには、適切なタイミングでコミュニケーションをとっていく必要がありますが、その作業を自動化することができます。


上記6つは営業DXにおいて重要になるツールです。
実際にDX化をしていくことにより、自社にとってどのようなツールが必要になるのかが見えてくるかと思います。

一気にツールを導入すると、ツールをうまく活用できずコストばかりかかってしまう可能性がありますので、徐々に必要なツールを増やしてDX化を進めていきましょう。

営業DXの成功事例【国内企業】

営業DXの成功事例【国内企業】

それでは、次に営業DXで成功した事例を国内企業に絞って紹介をしていきます。

FUJITSU(富士通)|営業DX成功事例

FUJITSU(富士通)|営業DX成功事例
出典:富士通

営業職という職種そのものを変えた事例として富士通があります。
それは、インターネット上で情報を収集できる昨今では、営業職という職種事態に存在意義を問われているからです。

以前より、海外では営業職を撤廃し、代わりに商品やサービスの良さを発信・伝達する「エバンジェリスト」と呼ばれる職種が注目され、増えてきております。
国内企業では、いち早くこの流れにのった企業が富士通です。

「営業」→「ビジネスプロデューサー」

富士通は、営業DXというよりDX化を推進している企業となっております。
特徴としては、以前から国内の常識であった「年功序列」を撤廃したり、「ジョブ型制度」と呼ばれる役割が職務によって決まる制度を取り入れたりと、企業内部の改革を進めてきた企業です。

営業職もその改革によって、「ビジネスプロデューサー」という職種に変化していきました。

テクノロジーと改革

この新体制では、最新のテクノロジーシステムによる効率的な社内での連携によって成り立っております。

ビジネスプロデューサーは、前身である営業職とシステムエンジニアによって構成された職種で、その役割としては顧客を直接的にサポートすることです。
そして、ビジネスプロデューサーの後にはインサイドセールス部門が設置されており、営業活動のサポートや社内での調整役として受け入れる体制をとっております。

富士通の事例に適した企業

この富士通で行われたDX化は、複雑なシステムかつ高額な商材を取り扱っている企業に適しております。
理由としては、営業マンではなくサポーターとして顧客を直接サポートできるように設計をされており、顧客が自ら営業担当にサポートを求めてくるようなビジネスに効果的だからです。

そして、この営業担当者には、営業力だけでなく技術的サポートが可能になる知識や経験、解決力が必要となっております。

NTT東日本|営業DX成功事例

NTT東日本|営業DX成功事例
出典:NTT東日本

次の事例は、NTT東日本になっており、インサイドセールスを構築して成功した事例となります。

インサイドセールスの導入

NTT東日本では、2015年に新規事業を立ち上げ、それに合わせてインサイドセールスの導入を行いました。さらに、リード獲得(リードジェネレーション)から商談・クロージングまで担当するセンターの設立も行いました。

DX化したことにより、営業成績などの数値を細分化し分析することができ、PDCAを回し、それに合わせた営業担当や関連スタッフの教育・その他営業部門との調整を実現できました。

それらの結果、リードジェネレーションは約10倍を超え、成約金額は34倍を超えました。

テクノロジーと改革

インサイドセールスは、非対面で営業活動を行なっていく営業スタイルになります。
それだけではなく、リードの状態をデータで分析し、個々に合ったアプローチをすることで成果を上げていく営業活動のことを指します。

そのためには、しっかりとデータ分析を可能にするSFAやCRMの活用が必須になってくるのと、それらツールを十分に活用できるよう社内の体制を整えることがとても重要になります。

その点、NTT東日本では、社内の体制を整えることはもちろん、社員へ教育をすることにより成功に導いたと言えます。

NTT東日本の事例に適した企業

インサイドセールスを導入することでメリットを得られる企業はBtoB、BtoCどちらにもメリットがあると言えます。

ただ、オンラインでの営業活動にシフトしただけでは全くその意味を成しませんので、データの活用や顧客に合わせたアプローチを考え、体制を整え実践をすることをお勧めします。

営業DXの成功事例【海外企業】

営業DXの成功事例【海外企業】

次に海外企業の事例を紹介します。

テスラ|営業DX成功事例

テスラ|営業DX成功事例
出典:TESLA

営業DXの最後の事例としてテスラを紹介します。
テスラは、車の営業の常識である対面での営業を無くし、すべてオンライン上で完結する仕組みを構築しました。

全てオンラインで車を販売

テスラは、2019年まで店頭で車を販売しておりましたが、同年2月に店頭での販売を撤廃しオンラインでの販売へと移行することを発表しました。

今までは、車の試乗をする顧客も多いことから店頭での販売が常識でしたが、その問題もテスラは解決しました。その解決方法は、購入から7日以内又は走行距離1,000マイル(約1,600km)以内であれば全額返金対応をするという体制です。

さらに、オンラインでの販売に移行することでコスト削減が実現するため、その分を利用して平均して6%車体価格から値引きすると発表しました。

テクノロジーと改革

テスラでは、オンライン営業を行える設備が整っております。
具体的には、WEBサイトの操作性・快適性・速度等です。店頭での営業を撤廃する代わりに、これらのシステムには投資を行なっていっております。

これらは、BtoCだけでなく、BtoBの営業のあり方を変える改革と言えるでしょう。営業担当は存在せずに販売はオンラインに任せ、代わりの人材は顧客がサポートして欲しい部分に注力できます。

その結果LTVも向上し、企業価値も向上していくでしょう。

テスラの事例に適した企業

顧客の購買に対するニーズや課題が一定のビジネスモデルであれば、適応可能でしょう。
ただ、テスラのように全ての営業活動をオンラインで完結させるには、テスラが行なっているような大きな保証が必要になるケースも多く、それなりのリスクが伴います。さらに、営業を行なっている現場からの反発が起こる可能性もありますので注意が必要です。

その代わり、成功したときには、競合との差別化は可能になりますので、メリットとしても大きいです。

最後に

今回まで営業DXについて解説を行ってきました。
様々な業務がDXによって効率化・自動化されていっておりますが、営業活動においてもDXは今後必要になります。

まだ、DX化していない場合は、早速検討しても見ても良いかと思います。

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